「自由」消された「民主主義」

歴史教科書執筆基準「韓半島唯一の合法政府」を否定
日付: 2018年05月16日 00時00分

 議論を呼んでいるのは、教育部と韓国教育課程評価院が発刊した「中学校歴史・高校韓国史教育課程と執筆基準試案開発研究」の最終報告書だ。報告書によると、2020年度から中高生が使用する歴史教科書で、北韓に不都合な表現が多数削除されたことが分かる。「大韓民国は韓半島唯一の合法政府」「北韓の世襲体制」「北韓の人権」などの表現だ。
このうち、「韓国は韓半島唯一の合法政府」との表現は1948年12月12日、国連(UN)が韓国の独立問題を決議文の第195号に記したことから、大韓民国の正統性に対する根拠として引用されてきた。2011年10月に行われた中学校歴史教科書執筆基準審議の際、筆陣が「唯一の」という表現の削除を巡って論争が起きた前歴がある。当時、「天才教育」の教科書が「大韓民国は38度線以南で唯一の合法政府」との表現を挿入したところ、教育部からの修正指示により原状回復した。
今回の報告書では、既存の「大韓民国樹立」から再び「大韓民国政府樹立」へと修正されている。「世襲体制」と「人権弾圧」の表現は、北韓政権のアキレス腱かつ明白な事実であるにもかかわらず、突如教科書から消えるという危機に直面したのだ。
「自由民主主義」から「民主主義」への修正も看過できない問題だ。黄教安元首相は本人のフェイスブックで「非常に不合理な内容だ。『自由民主主義』を『民主主義』へと変えるという。社会主義革命勢力が主張する『人民民主主義』も可能ということか。大韓民国の『韓半島唯一の合法政府』という表現も削除するという。本当にそれで良いのか。我々の大韓民国が韓半島唯一の合法政府ではないとしたら、一体何だというのか」と指摘した。
黄元首相の指摘はもっともだ。民主主義の概念は幅広く、北韓が主張する人民民主主義(または民衆民主主義)も民主主義に含まれることは否定できない。「個人の自由」がない北韓の対外国号は「朝鮮民主主義人民共和国(Democratic People’s Republic of Korea)」だ。
韓国教育課程評価院は、民主主義という用語を取り巻く議論について「歴代の歴史教育課程と教科書は、ほとんどが『民主主義』を用いていた。しかし2011年の教育課程改正の過程で『自由民主主義』へと修正して以来、学界と教育界では修正を求める声が多かった」と説明した。
政界からは直ちに反対の声が上がった。
全希卿・自由韓国党スポークスマンは「共に民主党は、憲法改正によって憲法から『自由』を省こうとしている。それを、中高生が使用する教科書を通して実現させようとしている。中高生の理念と思想を偏らせ、人質化することは、典型的な教育の政治化だ」と批判した。
李彦周・正しい未来党議員は「『自由民主主義』は憲法に基づいており、(文在寅政府が)現行憲法に反する内容を新教科書執筆基準とした。国家の憲法の精神を覆す発想」と指摘した。
「最終」との札が付けられた教育部国家教科書執筆基準に対し、議論が収まる気配は一向に見られない。


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