加熱する財閥叩き

政府の規制強化を懸念
日付: 2018年05月16日 00時00分

 韓国経済は、財閥によって支えられている。しかし文政権発足後、財閥オーナーへの不正追及をはじめとする、透明性改善や株式持ち合い解消、増税など、財閥に対する規制強化が進んでいる。

 朴槿惠前大統領への贈賄などの容疑で懲役2年6カ月の判決を受けた李在鎔サムスン電子副会長、同じく朴前大統領が絡む贈賄罪で懲役2年6カ月の実刑判決を受けたロッテグループの辛東彬会長など、大手財閥に対して厳しい方針を打ち出す文政権による、創業家の不正を追及する動きが激しさを増している。
4月17日には、通信大手KTの役員らによる、国会議員への違法な政治資金提供への関与を調べるため、黄昌圭KT会長を出頭させた。 
ポスコの権五俊会長は4月18日、辞任を表明。「若く情熱のある人に経営を譲る」としたが、背景には文政権からの圧力があると見られている。権会長が推進した資源開発事業に、李明博政権が不当な影響力を行使したという疑惑も浮上し、捜査が開始されるのではとも言われている。
「ナッツ姫」「水かけ姫」のパワハラ問題の渦中にある大韓航空を中心とする大手財閥・韓進グループ。同グループの趙亮鎬会長も、脱税疑惑で韓国関税庁が捜査中だ。趙会長は10日、同社子会社のLCC、ジンエアーの代表取締役を辞任するなど影響を及ぼしている。
LGグループの創業家にも9日、脱税疑惑が浮上した。韓国検察は、グループの持ち株会社「LG」の本社を家宅捜索。「創業家出身の具本茂会長を家長とする具一族がグループ会社の株式を売却した際、譲渡益を正しく申告しなかった」との疑いだ。 
こうしたなか、公正取引委員会は、さらに財閥に対する規制を強化するために、大企業集団規制を公正取引法と別個に法制化する方案を推進している。
韓国では1980年に公正取引法が制定されたが、大企業規制法はこの枠から外れたもの。文政権発足後、公正取引委員長に就任した金尚早氏が、財閥改革をより強固に推進するための布石とも見られている。
公正委と公正取引法制改善特別委員会は(1)大企業集団の指定制度(2)持ち株会社制度(3)循環出資、金融、保険会社、公益法人などに対する出資規制(4)大企業集団の公示制度(5)私益騙取及び不当支援行為規制などを見直して、大企業規制法として包括的な方案を盛る計画だ。7月までに特委から勧告案の提出を受けて、下半期までには公正取引法全面改正案を国会に提出する計画だ。
過熱する財閥規制に対し行き過ぎだとの声も挙がっている。「政府と財閥間には腐敗の慣習が常態化していたのは事実。しかし、文政権の財閥叩きは、”現代の魔女裁判”だ。経済に対する国民の不満の矛先が、韓進財閥に向けられるなか、政権の人気取りの側面があることは否定できない」との指摘もある。韓国のGDPの80%を占めるとさえ言われる10大財閥。行き過ぎた不正追及や規制が今後、韓国経済に負の影響を与えるのでは、との懸念は大きい。


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