相手を信じない米朝首脳会談

ビッグ・ディールは可能か
日付: 2018年05月16日 00時00分

 世界が注目する米朝首脳会談の開催日と場所が発表された。ドナルド・トランプ米大統領は、金正恩との会談を6月12日、シンガポールで行うとツイッターで公開(5月10日、現地時間)した。金正恩は米国との幕後協商の間、大連へ行って(5月7~8日)習近平に会った。今のところ、北核の廃棄をめぐって、南・北韓と中国が共助して、米・日と対立する局面だ。米国は金正恩との会談の前にこの「南北共助」態勢を切り崩す必要があるようだ。

 ソウルの青瓦台の金宜謙代弁人は、米朝首脳会談の日にちと場所が決まったことについて、「今回の首脳会談を通じて韓半島非核化と韓半島の恒久的な平和定着が正常に安着することを願っている」と発表した。
一方、平壌側は9日、首脳会談の事前調整のため平壌を訪問したマイク・ポンペオ米国務長官の帰国に合わせて彼らが抑留していた米国人3人を釈放し、同行帰国を許した。トランプ大統領は10日未明(現地時間)、3人を直接出迎えた。
北韓の非核化を目標とする今回の米朝首脳会談は、文在寅政権が仲介した形で開催に漕ぎ着けたが、その結果に対しては専門家の間で展望が分かれる。
そもそも、今回の米朝首脳会談は、金正恩を窮地から救おうとした文在寅政権の試みから始まった。以前から「南北連邦制」を公言してきた文政権は、まず平昌冬季オリンピックを利用して米国の対北軍事行動の阻止に乗り出した。文政権は平壌側と緊密に共助して、韓半島の和解ムードを演出し、米国の軍事行動を封じ込めた。
米国が、CVIDで北韓の非核化を目指しているのに対して、北側は「韓半島の非核化」を主張し続け、文政権と中国が北側の立場を全面支持している。金正恩は自らの「体制保障」を要求し、その一環として米国との平和条約までを求めている。
文政権は、金正恩を応援するため、米朝首脳会談も板門店で開催するよう働き掛け、トランプ大統領も乗り気だったが、ワシントンの朝野の反対で中立的なシンガポールに決まった。米朝首脳会談の主な課題も、南・北韓と中国側のメディア攻勢で「北韓の非核化」から「韓半島の非核化」や「金正恩体制の保障」へと焦点がずれ始めている
マイク・ポンペオ米国務長官は13日(現地時間)、米フォックスニュースやCBS放送に、「北韓が核プログラムやWMO(大量殺傷兵器)を完全に廃棄すると、(北の電力網などインフラへの)米国の民間投資が可能になる」と述べた。北側に「経済的繁栄支援の約束」を具体化したのは北韓版「マーシャル・プラン」と言えそうだ。
一方、ジョン・ボルトン米国家安保補佐官は同日、北の核兵器や長距離ミサイルなどを破棄し、米テネシー州へ持って来なければならないと強調した。
いずれにせよ、「北韓の非核化」は関連国らの複雑な思惑のため、もはや東アジア全体の現状変更へのビッグ・ディールが取り沙汰されている。それで米国は、平壌や中国と足並みを揃えている韓国の文在寅政権の離反を抑制するため韓米首脳会談を22日、ワシントンで開く。米側が韓国に提示する内容が注目される。
ところで、平壌側が今月23~25日に豊渓里の核実験場閉鎖をメディアに公開すると発表したことについても、北側の非核化への誠意という反応がある反面、核活動の証拠隠滅という厳しい批判も強い。


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