在日系高校 大学合格率の高さに注目

強みとともに課題も
日付: 2018年04月11日 00時26分

 4月に入り、全国の学校で新年度がスタートした。同時に、多くの高校で大学合格率や進学状況が公表された。そうした中、改めて注目を集めているのが在日韓国系高校における大学合格実績の高さだ。今回、関東と関西の各校に焦点を当て、各校の特色や進路指導における特徴、進学実績などをまとめた。大規模校から小規模校まで、大学進学に対する各校の強みと課題が浮き彫りになった。

■関東編

東京韓国学校―難関大進学者が続出
韓国のソウル大や延世・高麗大、日本の早稲田・慶応大など、在日韓国系高校の中で韓日の難関大に最も多く合格者を輩出しているのが東京韓国学校(金得永校長)だ。 
同校は、保護者の仕事で来日した短期・長期滞在者や永住権・特別永住権を持つ在日韓国人、日本人の生徒らが混在しているため、校内は日本語と韓国語が日常的に飛び交う環境にある。こうしたなか特に有効なのが、2005年から始まったイマージョン教育だ。最近になって都内の公立中・高でも取り入れる学校が増えてきたが、当時の日本では極めて画期的な教育だったといえる。 
イマージョン教育では全ての教科の授業を英語で行うため、英語力が飛躍的に向上する。韓国語と日本語を土台とし、小学校から高校までの12年間でトリリンガルを完成させるシステムだ。
同校卒業生の語学力については、韓日両国の大学でも定評がある。実際、日本の難関私大数校では同校生徒の受け入れ枠を拡大するなど、積極的な姿勢を示し始めている。
韓国から来日した生徒の保護者は、総じて教育熱が高い傾向にある。そうした保護者らの意識と、学校カリキュラムの相互作用が、高い大学合格実績を叩き出す一要因といえるだろう。
高い大学合格実績が注目されると共に、入学希望者も増え続けている。半面、同校にとっては手放しで喜べない理由がある。入学を希望する生徒の待機数も増え続けているからだ。特に、初等部4年生の待機人数は最多の34人に上る。また、初等部から高等部までの生徒数と建物の規模が見合わず、現在は1クラス40人体制で運営されている。校庭は時間を区切る交代制で使用しているため、生徒たちが十分に体を動かすことも困難な状況だ。
2月に就任した呂健二民団中央本部団長もやはり、第2韓国学校の設立が急務であるとの認識を示している。同校は今後さらなる生徒数の増加を見込んでおり、一刻も早い第2韓国学校設立を望んでいる。

青丘学院つくば―予備校いらずの一条校
2014年の開校から4年目を迎え、進学実績に明らかな手ごたえを感じているのが、青丘学院つくば高等学校(茨城県石岡市・金正出理事長・金正龍校長)だ。同校は、在日韓国系学校では初となる全寮制の中高一貫校で、日本の学校教育法に則った一条校として位置づけられている。開校当初から入学者は順調に増え続け、今年度は過去最多となる15人が入学した。
「個人の希望を確実に生かす」という理念を主軸とした進路指導のもと、同校は緩やかながらも着実に実績を積み重ねてきた。1日7時間の通常授業に加え、夜間は2時間の補習を行う。全寮制のため外部の予備校に通うのが難しいことから、夜間の補習は生徒と保護者にとって安心材料の一つとなっている。
同校はまた、韓国語、英語、日本語のトリリンガル育成を掲げ、生徒自身に明確な目的や目標を持たせるよう指導している。表現能力の向上をはかるプレゼンテーションや校内弁論大会も活発に行われており、グローバル人材の育成にも注力している。
こうしたカリキュラムの成果と、少人数によるアットホームな環境の利点が、大学合格実績に反映され始めた。昨年度の卒業生7人は、日本大学薬学部や東邦大学薬学部など、国内の各大学に多数合格した。また、韓国国立釜山海洋大学や国立慶北大学、ソウルの中央大学など、韓国の難関大学にも多数の合格者を輩出した。
一方、新設校のため進学実績が不足し、同校から各大学への推薦枠が乏しい点は否めず、今後に期待されるところだ。また、韓国から来日した生徒への対応が確立されているとは言い難く、目下の課題とされている。
同校の進路指導担当者は「2020年の大学入試改革を目前に控え、新たなカリキュラムを模索している。今後も同校の良さを生かし、進学実績を上げていきたい」と意欲を見せている。
(次週「関西編」に続く)

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