「対話」を口実に対北制裁を覆す文政権

日付: 2018年03月07日 00時00分

平壌に向かう特使団。左から尹室長、徐院長、鄭室長、千次官、金次長(写真=連合ニュース)
 米国が対北圧迫を最大限に強化している中、文在寅政権は国際社会の対北圧迫を無力化し、金正恩を救うため韓米同盟まで犠牲にする姿勢だ。
文在寅大統領が5日、対北特使団を派遣した。鄭義溶国家安保室長を団長とし、徐薰国家情報院長、千海成統一部次官、金相均国家情報院第2次長、尹建永青瓦台国政状況室長と実務者5人が同行した。取材記者は同行しなかった。
青瓦台の発表によれば、特使団は特別機(大統領専用機)で午後14時50分、平壤の順安飛行場に着陸し、労働者たちの休養所である大同江辺の高坊山招待所に案内された。
特使団の1泊2日の日程を準備したのは、先月ソウルへ潜行して南北関係の幕後工作をした孟京日第1副部長など労働党統一戦線部で、午後6時から金正恩主催の晩餐会が催されたという。金正恩は念願の対米関係打開のため、南北和解の雰囲気づくりを演出するものと予想される。
今回の特使団で注目されるのは、儀典序列を無視して鄭室長が団長を務めることと、任鍾晳の代わりと見られる尹建永青瓦台国政状況室長(49歳)だ。
国政状況室長は、国政に関する内外の情報を整理して大統領に報告する青瓦台の核心ポスト。彼は盧武鉉大統領の政務企画秘書官、文大統領が国会議員のとき補佐官など、最側近の一人だ。金正恩宛の文大統領の親書も持参したという。
文大統領の「親書」は、金与正を通じて金正恩の親書への返事だが、内容は全く不明だ。ただ、金正恩の口頭訪北招待に対して文大統領が、「環境を作りながら推進しよう」と答えたことと、先週の「3・1節記念辞」の内容から、「南北首脳会談」実現への提案や作戦が含まれた可能性が多い。
つまり、いま金正恩が絶対窮地に追い込まれているにも関わらず、今回の特使団の中に、核問題専門家が含まれていないことなどから、北に「非核化」要求より、南北が共同で対米戦略を練る方案が提案されると見る専門家が多い。
特使団の鄭団長と徐薫国情院長は6日、ソウルに戻って文大統領に報告し、7日にも、会談結果を米側に説明・説得するため訪米するという。特使団長を鄭安保室長にしたのもそのためという。だが、文政権が、米国務省が対北追加制裁措置の発表に合わせて、対北制裁措置を破りながら特使団派遣を強行したのが米側の憤怒を買っている。
特に、文政権が予定されている「韓米連合訓練」のさらなる延期や縮小を求めれば、トランプ大統領は対北制裁を妨害する文政権にもさらに厳しい圧力を加えると予想される。


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