高麗青磁への情熱―126―

日付: 2018年02月07日 00時00分

苦心の末の成果(二)

柳根瀅
高徹・訳/馬瑞枝・画

 山本は京都でも名のある家柄だということだった。
長い沈黙の後、彼の顔にようやく穏やかさが戻った。
「おい、君」
私は返事の代わりに彼を見つめ返した。
「君に言ったのは、別に民族差別からではないんだ。君を息子か甥のように思って言ったんだから、誤解するんじゃないよ」
「よろしい。そうなら、私も年上に対するようにしましょう」
それまで二人の言い争いのせいで、工場内の雰囲気がまるで葬式のように沈鬱だったが、対話がしだいに穏やかになると、皆の顔がほころび始め、笑みが広がった。
「わしは、今日のように気分のいい日は初めてだよ。朝鮮人は話に聞いていたが、実際に会うのは今日が初めてだ。君は大胆で鋭く、たのもしいし、実に立派だ。人柄もそうだが、力のあるその声から、強い意志が感じられる。わしも五〇歳にして初めて会う男だよ。永遠にわしの記憶に残るよ。これからも信義をもって付き合おうじゃないか」
彼とこれが縁となってその後もしばしば会うようになった。こんなことがあってからその後、山本は私を招いては、いつも食事を準備し、私に勧めてくれた。しかしいくらいい料理とはいえ、夕食をすませてのことだから喉を通らなかった。ただ食べる素振りをするだけである。彼には二二歳の京子と、一九歳の長男の英一がいた。
その日も山本の自家用車が工場までやって来たが、車には娘の京子が乗っていた。
「京子さんまで来て、どうしたんです?」
「先生が作品を製作中とのことで、見学がてらお連れしに来たの……」
千恵子も彼女と顔見知りのようであった。
「お聞きしたところ、柳先生がお宅に何度も呼ばれて、いろいろとお世話になられたとのこと、すみませんね。ほんとうにありがとうございます」
「どういたしまして。私たちの所へはちょっと立ち寄られる程度で、お宅にはいつもお世話になって、ほんとうにこちらこそありがたく存じますわ」
「柳先生は私たちがお招きしたお方ですもの、あたり前のことですわ。こちらではたいした料理ももてなせないで、かえって恐縮しておりますのよ。そうそう、京子さんがいらしたのですから、どうぞご一緒にお出かけになっては?」
「千恵子さんも一緒にいきましょうよ」
と京子が言う。
「それでも、お二人で楽しいお話もあるでしょうに、私がいたら邪魔になりますわ」
「そう言わないで、ご一緒しましょうよ」


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