北韓に対しては無言の左派勢力
(前号からつづく)
洪 統一日報の建国史連載では、李承晩大統領が北韓同胞たちに「絶望しないでください」といったその声明を紹介した。昨年12月に行われた日本政府による北韓人権侵害問題啓発週間の最終日のイベントでは、日本政府と民間団体の対北放送が共同で対北韓ミニコンサートを収録したが、日本の対北放送のキーワードは「私たちは、あなたを忘れてはいない。必ず救う」だった。李承晩大統領が北の同胞たちに、絶望せずに待つように言われたのと全く同じだ。
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朴成業伝道師 |
朴 李承晩大統領は、当時の米国大統領特使としてきたニクソンに、「奴隷状態の北韓住民を平和的に救いたいが、必要であれば武力を動員することは、私たちの自由だ」と話した。その北進統一集会に国民が大々的に参加し、意志、精神が生きていた。休戦は、北韓同胞解放という究極的な目的のために時間を稼ぐためだったが、いま私たちは休戦を受け入れた目的を忘れている。経済的に成功し、李承晩大統領が国家的課題として話した、「北韓同胞救援」という時代的な使命を忘れている。国連とすべての文明社会が知ることとなった北韓のひどい状況を、当事者である韓国社会が無視して、むしろトランプ大統領が昨年、韓国国会で私たちの失われた精神、道徳性について演説した。
洪 言われたとおり、休戦は北韓同胞解放までの時間稼ぎだった。まるでトランプが韓国大統領のようだった。韓半島の現状変更は、すでにはじまった。中国が力で現状変更を押し通して、平壌側も核武装を介して停戦体制変更を求めている。敵が状況変更を求めるのに、現状に安住し、挑戦を受動的にしてはいけない。韓米同盟は現状変更に積極的に対応しなければならない。
朴 トランプ大統領の演説に感銘した。今の文明社会全体が北韓解放に向けた韓国の行動を期待しているが、韓国に自由統一の意志があれば、米国が助けてくれるであろう。
洪 国内外の多くの専門家は「米国が北韓の核を容認するか」だけ取り上げるが、トランプ大統領が「北韓の核=金正恩」と見て、人間を奴隷にした金正恩を容認しないことを理解できていない。人類の歴史上、独裁体制が人間を矮小(小人)化した最初の事例が金王朝だ。
朴 すべてを人間の利害関係のみで見る人々は金正恩が「核は使わない、ミサイル攻撃はしない」と言うが、狂った者はいざとなったら何をするか分からない。人類の歴史が利害関係と論理だけで進められたら、戦争は起きなかった。歴史は論理的、合理的のみで動いてきたことはなく、霊的な理由と道徳的領域で動いたりもする。南北問題においてもそうだ。決定的な瞬間に、論理を超越する。米国が仮に金正恩体制を容認すると、これまで追求してきた米国の価値観は、それで終わる。聖書では”丘の上に建てられた家は全世界が見て、この家に灯をともすと遠方から見える”というが、これはニューヨーク・タイムズが選んだ最高の説教の一つだという。米国はこれらの価値観の上に立てられた国だ。現在の韓国の若者たちは、恵まれた環境で暮らしているのに感謝せず、「ヘル朝鮮」云々と恨みだけでは心配になる。
洪 我慢を知らず感謝することも知らなければ精神的、肉体的にすべてが健全とは言えない。
朴 それでも逆転を期待する。これまで左派、左翼勢力は正義や独裁反対、弱者のために、生命のために、このような価値観やスローガンを掲げて大韓民国に反対する扇動をしてきた。一方、北韓に対しては何も言わなかった。セウォル号のような海難事故で亡くなった犠牲者は哀悼するが、セウォル号闘争が正義なら、北韓体制の組織的な大量虐殺放置は何であるか? このような真実を正しく理解し、北韓同胞解放などのしっかりとした目標とターゲットが決まれば、左翼勢力が掘った穴は、彼らの墓になると考えられる。メディアなどが正しく報道し、正しい方向に逆転が起きないかと期待する。左翼勢力が道徳性を掲げ、間違った方向に国民を導いたように、道徳性に対する正しい方向提示と正しい心を回復することが、結局は韓半島正常化の鍵とみている。道徳性の根本は、キリスト教信仰だと私は考えている。大韓民国建国完成の起承転結は、キリスト教信仰から始まってキリスト教信仰で終わる。
洪 大韓民国建国の洞察と勇気を与える言葉に感謝する。(おわり)
洪=洪熒・本紙論説主幹
朴=朴成業伝道師