北側の「建軍節攻勢」は文政権への踏み絵

日付: 2018年01月31日 00時00分

 北側が今年の「朝鮮人民軍創設70周年」を迎え、「建軍節」を4月25日から2月8日に変えると発表した。平壌の朝鮮中央通信は23日、「労働党中央委員会政治局が2月8日に朝鮮人民軍創建日として記念することを決めた」と発表した。
『労働新聞』も23日、「2月8日朝鮮人民軍創建日を意義あるよう記念することについて」という22日付、党中央委政治局決定書を1面に掲載し建軍節の変更を公表した。そして、新たな軍創軍日に合わせ、大規模のイベントを予告している。
元々、平壌側の「人民軍創設記念日」は解放後の2月8日(1948年)だったが、1978年から金日成がいわゆる「抗日遊撃隊」を組織したという1932年4月25日を軍創建日に定め、「建軍節」と呼んできた。ところが、金正恩は権力承継後、実際の正規軍が創設された2月8日に意味を付与し始めた。その延長線で今年の「建国」70周年を迎え、2月8日に再び建軍節として公式化したと専門家たちは見ている。
ところで、金正恩が人民軍創設日を2月8日の変えるのは、これまでの捏造された「金王朝の革命歴史」と衝突するなど問題がある。父の金正日が1978年、抗日闘争史を整備し、金日成がパルチザン部隊を組織したという1932年4月25日を建軍節にしたことを変えるのは、「憲法改正」ほどの意味があるからだ。
まず、今回の措置は最近の情勢に合わせて急に決めたものだ。それは北側の今年のカレンダーに、4月25日が祝日として印されていることからも分かる。そして「2・8節」は、北側が今まで宣伝してきた、「李承晩による分断固定化」の主張を自ら覆すことになる。
同時に、スターリンの命令で1946年1月に事実上の政権樹立が行われたのを認めることだ。
つまり、金正恩の今回の措置は、明確に平昌冬季オリンピックの開催を利用する思惑から出たものと言える。平昌オリンピックの前日に、北側の「核武力の完成」を誇示し、文在寅政権を人質にして、米国との駆け引きを有利に展開したいという狙いと見られる。
ソウルの政府筋は23日、「平壌郊外の美林飛行場で、数万人の兵力と多くの装備を動員して、閲兵式のリハーサルをする状況が識別されている」と言い、兵力と装備が増え続けて、特に、閲兵式のリハーサルにSU(スホイ)25戦闘機とAN2低速浸透機などの航空機も動員していると言った。
関係当局は、北側が今回も大陸間弾道ミサイル(ICBM)級の「火星15型」と新型潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「北極星3型」などの登場も予想される。
一方、平壌側は25日、韓米連合訓練の永久中止を要求した。金正恩は、「南北接触の維持」を願っている文在寅政権の弱点を最大限利用して、韓米同盟に決定的にくさびを打ち込む戦術に出た。
そして、29日の深夜、金剛山での合同公演(2月4日)の取り消しを通報してきた。文在寅政権の焦りを突く揺さぶりだ。
北側のこういう攻勢、特に韓米同盟への揺さぶりに対して、韓国の20代の若者層を中心に激しい反発が起きている。だが、趙明均統一部長官は26日、北側の大々的な「健軍節」パレードを「内部的需要によるもの」と発言し、北側の戦術に載っている文政権の屈辱的な姿勢を露呈した。
趙明均統一部長官はさらに、平昌オリンピック後に韓米連合訓練を再開すれば、南北関係は昨年の(最悪の)状況に戻ると言い、米国の対北圧迫強化に応じない態度を示した。
いずれにせよ、金正恩が仕掛けた「建軍節」攻勢が、「文在寅ロウソク革命政権」への踏み絵になっていると言えよう。最近、急速に高まる金正恩と文在寅に対する一般市民の反感が、平昌オリンピックを前後に爆発するのか、韓国人たちは今回は自国の運命を自分が決めるのか注目される。


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