朝鮮労働党機関紙の元旦特集は首領の新年の辞だ。今年は、金正恩の新年の辞をきっかけに連日、平昌冬季オリンピックを利用して、対南攻勢を強化している。だが、朝鮮新報1月12日付の2面は、「情勢の発展を主導していく指導者の固い意志は、米国の対北軍事攻撃を抑制し、わが民族同士を実践すること」と金正恩の底意を正確に解説している。
金正恩が新年の辞で対南攻勢に触れる前の本音を引用して見よう。
「同志の皆さん!今年、われわれは栄えある朝鮮民主主義人民共和国創建70年を迎えることになる。偉大な主席と偉大な総書記の最大の愛国遺産である社会主義のわが国家を世界が公認する戦略国家の地位に堂々と押し上げた偉大な人民が、自分の国家の創建70周年を盛大に記念するようになるのは実に意味深いことである。
(中略)朝鮮の核武力の建設で収めた歴史的勝利を新たな発展の跳躍台にし、社会主義強国建設の全ての戦線で新たな勝利を獲得するための革命的な総攻勢を繰り広げていかなければならない。
(中略)自衛的国防力をさらにしっかり打ち固めなければならない。偉大な主席が朝鮮人民革命軍を正規の革命武力に強化し発展させた70周年に当たる今年、人民軍は革命的党軍としての面貌をさらに完璧に備えるべきであり、戦闘訓練を実戦の環境に近づけて強力に組織・実践して全ての軍種、兵種、専門兵の部隊を一騎当千の戦闘隊伍にしなければならない。(中略)
国防工業部門は、第8回軍需工業大会で党が示した戦略的方針通り並進路線を一貫して堅持してわれわれ式の威力ある戦略兵器と装備を開発、生産し、軍需工業の主体的な生産構造を完備し、先端科学技術に基づいて生産工程を現代化しなければならない。
核兵器研究部門とロケット工業部門は、すでにその威力と信頼性が確実に保証された核弾頭と弾道ミサイルを大量生産して実戦配備する事業に拍車をかけていかなければならない。また、敵の核戦争策動に対処した即時的な核反撃作戦態勢を常に維持するようにしなければならない」
ところが、北側はまだ平昌冬季オリンピックへの出場選手団の規模すら通報していない。金正恩の態度は全く図々しい。核実験とミサイルを発射するお金はあり、大量生産および実戦配備を促しながら、多くて数百人程度の代表団を平昌に送る費用は韓国側に要求している。
平壌側が取っているすべての行動は、結局は妨害が目的だ。ソウルオリンピックの時も最後まで妨害しては、労働党対外情報調査部の工作員である金勝一と金賢姫組に、金正日が直接の大韓航空機の空中爆破テロを指令した。金正日は工作員たちに失敗した場合は自爆(自殺)するよう指令したが、金賢姫が生き残りが国家テロ犯罪を証言した。
そして北側はテロ支援国家とされた。ブッシュ政権が北側をテロ支援国家から解除したが、トランプ大統領は昨年末に金正恩体制を再びテロ国家として指定した。朝総連は昨年末まで対南政治工作に没頭した。韓国の保守右派と財閥を積弊と規定し清算を求めてきた。ところが、文在寅・主思派勢力は今、財閥に平昌冬季オリンピック支援を求めている。
そもそも、共産主義者たち恥じを知らない。共産主義者は、自らの努力せず、他人の物を堂々と奪う権利があると考えている。金日成のパルチザン伝統というのが他人のものを奪う略奪を意味する。
ところで、韓統連の新年の辞は彼らが朝総連の別動隊であることを告白している。孫享根の新年の辞は「核戦争の危機を克服し平和統一への局面転換を主導しよう」だった。そして「キャンドル革命の完遂を!」、「朝鮮半島問題の根元からの解決を!」、「文政権に分断積弊の清算を要求する!」、「日本は戦争の道ではなく、朝日関係正常化の道へ!」などだった。ここで許せない言い方が、まず「朝鮮半島問題の根元からの解決を!」だ。そして、「朝日関係の正常化」の要求とキャンドル革命完遂を!」だ。韓統連がここまで露骨に叫ぶなら、これから名称を「朝統連」(在日朝鮮民主統一連合)に変えろ。「分断積弊」こそまさに「金氏王朝」のはずだ。平壤で民衆革命の完遂を叫べ。
さて、朝総連は、今年を「人民共和国」建国70周年と言うが、文在寅は、今年を建国99周年と主張した。文在寅の主張だと、金日成は大韓民国が建国29年後にソ連の衛星国を作った反逆者だ。この点に対して朝総連はどう思うか。(つづく)