地震後進国・韓国の現状

遅れる耐震補強と対策
日付: 2017年12月01日 00時00分

 地震安全国と呼ばれた韓国で地震が発生した。慶北・浦項で11月15日に起きた地震はマグニチュード5.4の規模。昨年9月に発生した慶州地震に次ぐ、過去2番目に大きい地震となった。被害額も最も多くなり、すでに1000億ウォンを超えている。

 震源は、深さ3~7キロと推定。最初の発表の9キロより浅いことが明らかになったが、昨年の慶州地震(マグニチュード5・8、深さ11~16キロ)より規模は小さかったにもかかわらず被害が大きかった。
地震は、大学修学能力試験(修能)を翌日に控えた15日に起き、試験を1週間延期することになった。修能は韓国の入試の中で最も重要視され、人生を左右するとまでいわれる。国を挙げての一大イベントでもあるのだ。延期された修能は23日に全国で行われ、余震が続くなか、無事終了した。
今回の地震で被害が大きくなった理由はいくつかある。その中でも、建築物が地震に備えていなかったことが最大の要因とされ、ピロティと呼ばれる建物の被害が特に大きかったことがわかった。ピロティは、駐車場を確保するために1階部分に柱だけを立てた、壁のない空間をいう。本来、壁があるべき空間に細い柱だけがあるので一般的な建物に比べて、耐久性に劣るとされる。
韓国の場合、条件によってはピロティ部分が建築空間から除外されるため、駐車場の確保と総建築面積に含まれないことを受け急増している。しかし、今回の地震で、2014年の竣工で築3年しか経っていない耐震設計1等級の新築マンションにもX字型のひびが入るなど、手抜き工事の疑惑もあがっている。ピロティを含め、以前から問題になっている手抜き工事はなくならないようだ。
専門家によると、ピロティそのものが地震に脆弱なわけではなく、設計や施工が適切に行われなかった場合に、今回のような被害が出るという。設計と施工に加え、監理が正しく行われたか、竣工検査を厳密・厳格にしなければならないとの指摘もある。
また、低層建築や古い民家などでの被害が多かった。低層建築だから安全だとは言えないことが分かり、耐震補強工事が必要だという声が高まっている。一方で、学校をはじめとする公共の建物の被害も少なくない。まだ補修工事が終わってない校舎で授業を開始することに対し、保護者から反発も出ている。
いくつかの公共の建物は、地震などの際に避難所として指定されていたが、今回の地震で建物が損傷。このような建物を避難所に指定した政府に、非難が殺到したという。
今回の地震では、韓国で初めて液状化現象まで確認された。液状化現象は、地震の際に地下水位の高い砂地盤が振動により液状になる現象だ。浦項の震央周辺2キロに泥水が噴出した痕跡が100カ所ほど発見され、液状化現象だとみられる。
今回の地震の一番の被害は、ほかでもない風説、デマだといわれる。地震の初期には、避難する被災者の数は少なかったが突然、一日に300人以上に急増するなど、避難所に移らなければ政府から補償金などの支援を受けられないというデマが飛び、避難所に来る被災者が急激に増えたとされる。
浦項に建設中の地熱発電所が地震の原因だという説が出て、建設工事は一時、中断された。政府は、地熱発電所と浦項地震の関連性について調査が完了するまで工事を中断すると明らかにしたが、専門家の間でも意見は分かれている。
浦項市災害安全対策本部によると、11月27日時点までに2万3123件の被害が発生、1150億700万ウォンの損失を受けたという。


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