韓昌祐経営論 マルハンの企業倫理(2)

学歴よりも情熱 モットーは信用・努力・奉仕
日付: 2017年11月22日 00時00分

ソウル・李民晧

 義兄のパチンコ店の仕事を手伝いながら、縁を結んだ峰山は韓昌祐ビジネスの原点であった。ここで、パチンコ店やクラシック音楽の喫茶店経営を始め、それが今日のマルハンの礎となった。
韓昌祐経営も60年の歳月が流れ、その間に大企業へと成長した。日本では、パチンコチェーンのマルハンを中心にゴルフ事業なども行っている。東南アジアでは金融業に進出して、カンボジア、ラオスやミャンマーなどでし烈な競争を繰り広げている。今後も、東南アジアでの金融事業拡大を計画している。
総従業員数は2万2000人で、家族まで含めると約6万人に達する巨大ファミリーだ。主力企業のマルハンは320店舗で1万3000人が働いており、全盛期の売上げは年間2兆2000億円に達した。
「常に6万人の大家族のことを考えています。事業は、私個人のためだけではなく、家族を幸せにすることが大切です」
マルハンでは、東京大学や京都大学、早稲田大学や慶応大学など、日本を代表する名門大学出身の社員が働いている。しかし、同氏の採用原則は学歴ではなく、徹底的に実力が優先される。
「米国GEのジャック・ウェルチ会長は、自身の学歴にコンプレックスがあり、一流大学出身者のみを採用していましたが、売上げはいっこうに上がりませんでした。後に、方針を変えて情熱のある学生を選ぶようになると、会社は成長していきました。マルハンもひたすら実力です。いくら一流大学出身者でも、仕事に対する情熱がなければ決して採用はしません」
現在、マルハンの役員は11人、そのうち高卒の幹部が2人だ。同氏は、高卒の役員は何といっても情熱がすごいと評価する。
話は、京都にある日本電産経営者の永守重信氏に転じる。
「永守氏は社員採用時、応募者を集めて弁当を配り、早く食べ終わる順に採用しました。永守氏本人の食事時間も短く、1年365日、朝ごはんは3分、昼食は5分、夜は20分です。残りの時間は全て仕事にあてます。元日以外は休みなしのワーカホリック。トップ志向なので、飛行機の座席も1番にこだわる。何をやっても1等でなければならない、学歴は関係ない、情熱あふれる姿勢で会社を育てています」
永守氏には良きライバルがいる。京都に本社のある京セラだ。京セラの社屋が20階であれば、自分は21階のビルを建てる。今も京セラを越えるために奮闘している。わずか3坪の田舎の倉庫からスタートした日本電産を、日本を代表する企業に成長させた原動力だ。
韓昌祐氏は社員に対して、持つべきものとして三つを挙げている。それは、良きライバル、目的と目標、真の友人の三つだ。
それでは、韓昌祐経営のモットーは何だろうか?
同氏は経営者になって以来、60年間「信用、努力、奉仕」をモットーにしている。ほかの人より、2倍の努力をする、信用も2倍積んで、奉仕も2倍という目標を設定した。その意識がないと、決してビジネスの世界で成功できないというのが同氏の信念だ。また、商売の基本には四つの柱があると強調している。
「ビジネスマンは、ハングリー精神とチャレンジ精神を忘れてはいけません。その次に、危機感と緊張感を維持しなければなりません。企業は、あっという間につぶれるもろいものです。この四つは、私の生涯の基本姿勢です」


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