文在寅政権の閣僚級の多数が、大学時代から反体制左派活動の前歴を持っている。内閣は国会議員兼長官が5人(金富謙、金榮春、都鍾煥、金賢美、金榮珠)いる。地域的には、湖南(全羅道)出身者が最も多い。李洛淵総理をはじめ、金相坤社会副首相兼教育部長官、朴相基法務部長官、文武一検察総長、金賢美国土交通部長官らが湖南出身だ。主要閣僚の面々を見てみると、以下のとおりだ。
▼金相坤社会副首相兼教育部長官は、ソウル大総学生会長出身で、在学中は「後進国社会研究会」サークルで活動。後輩学生の「左翼意識化教育」を担当した。金長官が1992年に提出した博士論文のテーマは、「社会主義企業の自主管理的労使関係モデルに関する研究で日本の左派学者らの影響を受けて作成した。金長官は、87年の民教協(民主化のための全国教授協議会)創立と、89年の全教組(全国教職員労働組合)創立にあたり、教授会の結成を主導した。
▼金富謙行政自治部長官は、学生運動に身を投じ、韓国建国後最大の地下党(スパイ団)事件だった「南韓朝鮮労働党中部地域党事件」(92年)に連累した人物だ。当時、民主党副報道官として活動していた金長官は、南派スパイ(李善實)と接触し、500万ウォンを受け取って拘束された。
▼金榮春海洋水産部長官は、高麗大総学生会長出身で、84年の「民正党舎占拠座り込み」を主導した人物だ。金長官は、高麗大内の主体思想派の地下組織「反米青年会」出身の安熙正(現忠清南道知事)を金徳龍元議員に紹介し、安氏の政界入りを背後で支援した。
▼金賢美国土交通部長官は、87年に延世大を卒業後、民青連(民主化運動青年連合)で活動した人物だ。83年に結成された民青連は「民族解放革命論」に立脚し、韓国社会を「米国の植民地」と規定していた反米運動組織だ。金長官は国会議員時代、国家保安法の廃止を主張し、核開発を続ける北韓政権を擁護してきた。
▼都鍾煥文化体育部長官は元教師で、89年の全教組の創立を主導した。91年7月に、非転向スパイの金永泰の誕生日会に参加し、祝いの詩をプレゼントした。金永泰は、金大中政権が金正日の要求に応じて北送した後、2008年に死亡した。都長官は12年1月、左派文人の集まり「韓国作家会」の会員とともに、済州海軍基地反対活動を行った。
▼朴相基法務部長官は、左派団体の経実連(経済正義実践市民連合)の元代表だ。経実連は朴槿惠前大統領退陣を要求するロウソク集会に、民主労総とともに主導的に参加。朴長官も国家保安法の廃止を主張し続けてきた人物だ。04年9月には、ソウル新聞への寄稿で「今、本当に自由に思考し、主体的に判断する国民社会を実現するには、国家保安法という足かせは消えるべきだろう」と主張した。また15年には、別の寄稿文で、憲法裁判所の統合進歩党解散決定に反対の意思を表明した。
▼李孝成放送通信委員長(長官級)は、言改連(言論改革市民連帯)の代表で、公務員労組の名誉会員である。言改連は左派的視点からメディアの報道内容を監視し、保守言論を非難してきた団体だ。利敵団体の韓総連(韓国大学総学生会連合)などを庇護してきた言改連は、北韓が天安艦を沈没させた直後の10年4月に発表した声明で、北韓ではなく、当時の李明博政権を非難した。
▼鄭鉉柏女性家族部長官は、参与連帯の元共同代表だ。鄭長官は02年7月、韓総連の合法化のための民主社会団体の指導者1000人の署名に加わった。韓総連は北韓の主体思想を組織の指導理念とした学生組織で、国家保安法撤廃や駐韓米軍撤収、南北の連邦制統一を主張した。(つづく)