北韓が最近、操業が停止したはずの開城工業団地内の縫製工場の稼働を開始した。同工団は昨年2月、北韓の4回目の核実験を受け、当時の朴槿惠政権が稼働を全面中断し、人員も撤収させていた。複数の海外メディアの再稼働報道が出てきた中で、北韓は6日、「私たちの工業地区で何を気にすることがあろうか」と、再稼働を暗に認め、強弁を繰り返した。
北韓はこの日、対外宣伝用媒体である「わが民族同士」の論評を通じ「米国とその取り巻きが吠え、制裁圧殺の度数を高めようと悪行を尽くしても、私たちの力強い前進を妨げることはできないだろう」とし「工業地区の工場は、さらに力強く元に戻るだろう」と明らかにした。
この反論に先立ち、米国の自由アジア放送(RFA)は3日、「北韓当局が開城工業団地内の19の縫製工場を、韓国当局に通報せずに密かに稼働している」と報じた。RFAによると、稼働が始まってから少なくとも6カ月は経つという。RFAはこの問題に関連して、「北韓当局は格別に保安に気を使っている」と指摘し、「外に光が漏れないよう、幕(カーテン)で遮断した状態」と伝えた。
開城工業団地事業は、韓国政府・公共機関が約1兆ウォンを投資した南北経済協力プロジェクトで、一時は124の韓国企業が入居していた。工業団地内の施設・設備は、すべて南側の所有だ。再稼働は韓国政府と企業の同意なしに行ってはならないことになっている。北韓が許可なく開城工業団地の機械を稼働させることは、財産権の侵害に該当する。
キム・スン元統一部長官政策補佐官は7日「開城工業団地は、(韓国企業が主導した)金剛山観光の前轍を踏んでいる」と指摘した。キム元補佐官の指摘は、2008年の韓国人観光客射殺事件後、11年に金剛山観光地区が廃止されたにもかかわらず、北韓側が中国人などの受け入れを行っていることを指している。
統一部は9日、北韓が開城工業団地を再稼働したことと関連して「電気供給先」がどこなのか、説明すべきという一部の指摘に対して「韓国政府は供給していない」と明らかにした。統一部当局者は「開城工業団地を中断した際、韓国電力から供給していた電気も遮断した」とし「私たちが(電力を)与えることはなく、もし稼働しているとすれば、独自に電力を引き込んでいるのだろう」と述べた。電力供給は昨年2月の閉鎖に合わせ、韓国側が北韓の無断使用を防ぐため、遮断していた。
今年9月に採択された国連安保理決議2375号は、北韓産の繊維輸入を全面禁止している。生地だけでなく、「部分的あるいは完全に完成された衣料品」も含まれる。したがって、不正に再稼働を始めた開城工業団地で生産した衣料品を輸入する場合、いかなる形であれ、安保理決議違反となる。