【新連載】日本人と韓国人―私の道のりと生き方―(1)情けない韓国の保守勢力

国内法より国家間の国際法が優先する
日付: 2017年10月03日 22時36分

尹仁鉉

 私は、これまでに見て思ったこと、経験したことを正確に伝え、より良い韓日両国の関係を作り、維持したい一念から、この連載を引き受けた。
統一日報を改めて見直したのは、最近韓国で起きた朴槿惠前大統領罷免の事実を、正確に報じたためである。クーデターであったにも関わらず、各紙はなぜ詳細を報じなかったのか。故意に事実を隠したのか。関心の度合いが低かったのか。
韓国の政権転覆を、メディアを先頭に立たせて成功させた。その火蓋を切ったのは、民主労総を主体とする従北勢力であった。それを間接的に後押ししたのは、情けない韓国の保守勢力である。
今、米国でも日本でも、世界の至るところで、政権とメディアの不和が起きている。その理由と原因はいろいろあると思うが、世の中を意のままにコントロールしようとするメディアの野望が一番大きいのではないか。ただその結果は、どの国も国民の民度に左右されるのではないだろうか。
韓国ではメディアを先頭に、民主労総を主体とする従北勢力が、クーデターをものの見事に成功させた。このような事態は、現在もまだ続いている。
善しあしはともかく、韓国人は正確な記述であっても、負の財産を認めようとしない傾向がある。国民性だろうと思うのだが、韓国人は常に他人のせいにできる弁明を探し、反省して立て直そうとする努力をしない。
保守と従北の闘いは、相手を倒そうとする気概の差である。朴前大統領罷免の争点になった、崔順実の国政介入の根本的問題は、韓国人社会で日常的に起きている一種の社会現象である。
裁く側も裁かれる側も、生活の方便として自分の周りの権力を利用できるのであれば、したはずである。
朴前大統領の対応を問題化するため、事件を煽って捏造したということは、誰でもすぐに分かるはずだ。大統領も人間であり、特に女性であるから、身の回りに気を遣うのは当然だ。その当たり前のことが問題とされた。
言論の自由も人権の侵害疑惑も、同じである。反政府系の人物や団体を把握しない国が、どこにあるだろうか。
翻って、韓国と日本のことだ。両国の関係は、誤解にあふれている。俗にいう政治的な意図によって、国民の本当に望むことを無視し、各種メディアに印象操作されている事例も少なくない。
両国の関係を正確に伝え、互いの誤解を正し、理解しあって仲良く助け合い、争いのない世界作りに役立つ両国関係構築に尽力したい。今まで人生の多くを日本で過ごし、日本で起きている社会的な問題から個人の些細な問題まで見てきた。
日本に住んでいる外国人として、第三者として、客観的に観察してきた。
私は公務員を辞する際、守秘義務について誓った。しかし、その時効は過ぎたと判断している。国の継続は、政権の質によって決まるものではない。国内法より国家間の国際法が優先されるのは、外国との約束が国内事情より重要だからである。しかし、文在寅政権は、前政権の日本との約束をないがしろにした。
日本と韓国。両国とも、私には大切であり、また両国が親善を保ち、助けあうことが、両国のためにも地域にも、ひいては世界のためにも役立ち、素晴らしいことであると確信している。(つづく)

尹仁鉉(ユン・インヒョン)
1932年、ソウル生まれ。駐日韓国大使館勤務など公務員生活の大半を、日本と関連がある業務に携わった。


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