朝総連がまたも苦難の時期を迎えた。またというのは、金正日が15年前に小泉首相に日本人拉致を認めたときと同様、世襲王朝の3代首領・金正恩が、労働党の在日党の立場を全く考慮せず、核実験と大陸間弾道弾実験を続けているからだ。
ミイラになった金日成と金正日は、首領独裁を維持するため、人民を弾圧し、飢えさせ、虐殺した。特に、後継者になった金正日は権力掌握の過程で、自ら「新世代工作員」の養成を指示し、そのため南韓人や外国人を拉致して連れてくように指示した。朝総連は労働党工作機関の日本人拉致工作を、平壌の指示に従って、韓日の反動勢力の謀略だと主張してきた。
ところが、金正日は自分が拉致を指令した28年後、平壌を訪問した小泉首相に、日本からの経済的支援を期待して、日本人拉致という国家犯罪を認めることで、平壌の指示に盲従してきた朝総連組織を見捨てた。
朝総連が平壌の指示に盲従して偽りの謀略扇動をしてきた例は、拉致問題だけではない。6・25戦争の「北侵説」をはじめ、韓国大統領の目論んだ戦争犯罪、韓国内のいわゆる「良心犯問題」や「光州事態」や「民主化闘争」という神話、大韓航空機爆破テロなど、平壌側の国家テロ犯罪を、韓国当局の自作自演だとしてきたすべての宣伝は嘘だった。
それでも、朝総連は餓死を免れようと鴨緑江と豆満江を渡った同胞たち(脱北者)を、同情するどころか、人間の屑と罵倒し、彼らを厳しく処罰する虐殺者に忠誠を誓ってきた。普遍的な人権は否定し、自分たちの権利だけを主張する朝総連集団が、日本社会で歓迎されないのは当然だ。
朝鮮新報は、紙の新聞とウェブサイトを動員して、関東大震災94周年などをはじめ、「高校無償化闘争」、慰安婦や徴用工問題などを集中的に報道し、金正恩の核ミサイル挑発に対する日本社会の嫌悪感を避けようとしている。植民地時代に奴隷生活をしたことは、歴史的に強調すべきことだろうか。忘れられないなら、北韓にも首領の銅像だけでなく、慰安婦像や徴用者像を建ててみよ。
驚くべきことに、金正恩は水爆実験の成功後、この核兵器体系が多くの人民の血で作られたものであると認めた。朝鮮新報の11日付は、1面トップ記事に関東大震災の朝鮮人虐殺94周年の追悼記事を掲載した。大震災の後、極度の混乱の中あった人種虐殺は許せない悲劇だ。だが、平壌の金氏王朝の首領が、北韓の人口の15%以上の人民を餓死させたのは、戦争でも災害でもなく、核兵器を完成させるため、食糧を購入しなかったからだ。朝総連は数百万の同族を犠牲にして完成した大陸間弾道弾や水素爆弾が、そんなに誇らしいのか。
もっとも、朝総連も金正恩の野蛮な核ミサイル挑発に対して、まずいと考えていることが分かる。弾道弾実験は熱心に報道した朝鮮新報が、金正恩の直筆指示で強行された水爆実験は、目立たぬように報道している。朝鮮新報のホームページは4日、朝鮮核兵器研究所が発表した水爆実験声明を重要記事として報道せず、目立たないようにした。紙の新聞は、水爆実験5日後の8日付で、ようやく1面で報道した。おそらく平壌の指示で、しぶしぶ掲載したのだろう。
朝総連は駐韓米軍撤収を叫ぶ。しかし解放後、日本軍の武装解除のため韓国に進駐した米軍が1947年にすべて撤退した後、なぜ再び戻ってきたのか。なぜ韓米両国が連合司令部を作り、定期的に訓練するのか。米軍が韓半島に駐留するのは、ソ連の操り人形だった金日成が、毛沢東とスターリンにそそのかされ、戦争を起こしたからだ。
朝総連は「祖国」の核ミサイル能力を大々的に称賛・自慢しつつ、日本政府の民防衛訓練は非難した。朝総連は、親北日本人を前面に出し、日本政府を非難した。日本にミサイルが落下する危険がある際に、国民がとるべき行動を教えるテレビCMを全国で流し、新聞に広告を掲載したことについて、北の脅威を意図的に煽っていると、識者から非難の声があがっていると批判する。北韓に対する「兵糧攻め」に触れた石川県知事への攻撃も煽動している。平壌や朝総連は、今まで口を開ければ「ソウルを火の海にする」と脅してきたことをすっかり忘れたようだ。
ところで、朝総連に問いたい。9月3日、ミサイル空襲警報が鳴ったとき待避したのか。今後もミサイル空襲警報が鳴れば、待避するのかしないのか。まさか彼らは、祖国の(首領が発射命令をした)ミサイルを歓迎するのだろうか。(つづく)