米本土届くICBM 米国社会に無力感も

それでもTHAAD完全展開に踏み込まず
日付: 2017年07月12日 17時01分

 北韓は4日、平安北道亀城市付近から東海(日本海)に向け、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を行い成功した。ミサイルが正常に発射されれば米本土に届く。だが、文在寅政権はTHAAD完全展開の意志を示していない。

 北側の発表によると、ICBMは高度2802キロまで上昇し、水平方向に933キロ飛び、飛行時間は39分間。専門家は、ミサイルはアラスカやハワイを越えて、米本土に到達すると指摘している。
米国のニッキー・ヘイリー国連大使は5日の安全保障理事会の緊急会合で「我々の能力の一つには相当規模の軍事力がある。やむを得なければ、それを使う」と述べた。米軍は8日、B1B戦略爆撃機2機をグアムから江原道に飛ばし、北韓内目標攻撃を想定した精密爆撃訓練を行った。
北のICBMの開発は、かねてから米国のレッドライン(超えてはならない一線)とされてきた。これは今年1月、金正恩が発表した「ICBMの発射実験が最終段階に達した」との新年辞に対し、「そうはさせない」と、トランプ大統領がツイッターでつぶやいたことが元となっている。
レッドラインを超えれば、軍事オプションもありうる。この米国のスタンスが実行に移されるなら、韓半島の緊張感は一気に高まる恐れがあった。
一方、米国防総省は、軍事オプションの行使には後ろ向きだ。国防総省のデービス報道部長は5日、ICBMの大気圏再突入の技術は実証されておらず、米国への脅威は限定的だと述べた。
マティス米国防長官は6日、北のミサイル技術が向上しているとの認識を示した上で、対北先制攻撃は「自制していく」と述べた。ヘイリー国連大使も、軍事オプションに言及した後に「その方向に進みたくはない」と付言しており、米国には慎重論もある。


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