北無人機、THAADを撮影

性能向上、新たな脅威へ
日付: 2017年06月21日 05時57分

 今月上旬、江原道・麟蹄郡の山林で発見された北韓製の無人機。軍当局などが調査を進めたところ、慶尚北道・星州郡に配備されたTHAADの発射台やレーダーを撮影していたことが明らかになった。無人機には、ソニー製のカメラが取り付けられており、上空2キロから撮影された写真500枚以上のデータが保存されていた。THAADに関連する写真は十数枚だったという。カメラの販売国は不明だ。
2014年、北韓の無人機が相次いで墜落した状態で発見された。GPSを用いて、目標物が近づいたときに一定間隔でシャッターを切るようプログラミングされていたという。今回も同じ仕組みで撮影されたようだ。
進化したのは航続距離だ。3年前の機体は300キロ程度と推定されているが、今回は星州まで飛んだ。軍事境界線から星州までは270キロほどで、往復すれば500キロを超える。3年間で2倍程度に航続距離が伸びた計算だ。
麟蹄では墜落した状態で発見されたが、すでに北韓は無人機を用い、THAADシステムの撮影に成功していた可能性が高い。
朝鮮中央テレビは5月8日、人工衛星が撮影したというTHAADの写真を公開した。これに対して北韓の軍事情勢に詳しいジャーナリストの惠谷治氏は「北は人工衛星の軌道投入には成功しているが、人工衛星から電波を送れない。写真が送られてくるはずはない」と指
朝鮮中央テレビが5月8日に公開した、北韓の衛星が捉えたというTHAADの写真(連合ニュース)
摘する。
あるプロカメラマンは、試したことがないので断言はできないとした上で、上空2キロから今回使われたカメラで地上を撮影した場合、発表された「衛星写真」と同程度の写真は撮れるのではないかと推定する。遠隔操作のシャッターの精度や天候、無人機の振動などの条件が整えばということだ。
それ以上に懸念されているのが、無人機を使った攻撃だ。今回は小型機の航続距離が伸びたことが確認されたが、より重量物を積載できるように改造すれば、小規模爆弾を積んで、首都圏を攻撃することが可能になる。少量で多くの人を殺傷できる生物・化学兵器は、小型爆弾以上の脅威だ。軍は小型機の侵犯を確認できておらず、機体を探知するレーダーもないという。


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