北韓の労働新聞は10日、ICBM(大陸間弾道ミサイル)について、「開発に必要な先端技術をすべて手に入れた」と報道。「決して遠くない時期」に発射すると伝えた。5月に行った発射実験で、高出力エンジン開発や、課題とされてきた大気圏再突入の技術を確保したという。
労働新聞によると、ICBMは核弾頭の搭載が可能だという。その上で、米本土全域を射程に収めていると主張した。米政府は北韓を核保有国と認めておらず、労働新聞の記事にも無反応を貫いている。
米保守系新聞の「ワシントン・エグザミナー」は、米国には二つの選択肢が残されていると指摘する。一つは先制攻撃、もう一つはミサイル防衛能力の強化だ。米国は前者の選択肢を極力避けようとするだろう。トランプ大統領は今も、中国の対北抑止力に期待している。一方、米国防総省は5月30日、ICBMを想定した迎撃実験を行い、成功したと発表した。
米国は仮に北韓がICBMを撃ち込んできたとしても、迎撃に成功するかもしれない。だが、ソウルは別だ。ICBM発射と時を同じくして起こりうる北韓からのロケット砲やミサイル攻撃に対し、防衛能力は完全とはいいがだい。
星州に配備されたTHAADは、韓国当局が電力を供給せず、反対派が燃料輸送を妨害しているため、正常に稼働していない。5月21日に北韓がミサイル発射した際は、レーダーが動かず、捕捉に失敗した。
危機的状況に対応すべき文在寅政権は、すでに決まっているTHAADのフル稼働を推進しないどころか、遅らせようとしているようだ。大統領府は7日、追加の発射台4基の搬入を「環境評価後に行う」との方針を発表した。
民間人も含めて20万の自国民が韓国で生活している米国は、しびれを切らしている。5月31日に文大統領と会談したディック・ダービン米上院議員(民主党)が、THAAD配備を望まないなら、米国の関連予算をほかのところに回すこともできると伝えたのだ。
7日に大統領府から語られたのは23カ月という数字だった。グアムにTHAADが配備された際、環境評価に要した時間だ。最低でも1年かかるといわれるが、そこまで悠長に構えている余裕など、韓国にはない。韓米首脳会談が月末に迫る中、文大統領は安保現実を直視すべきだ。