朝総連衰亡史(42)朝総連が自ら告白する自画像、野蛮の下手人

日付: 2017年06月07日 00時00分

 金正恩がミサイル実験に拍車をかけている。先月も北極星‐2や火星‐12号などの新型中距離弾道弾を発射した。KN‐17と分類された弾道ミサイルはICBM級だ。平壌側が文在寅・主思派政権の対北柔和姿勢にもかかわらず、ミサイル体系の完成に没頭するのは、金正恩が核戦力に体制の運命をかけていることを物語る。
弾道ミサイル開発には一体どれほどのお金がかかるか。生産単価は不明だが輸出単価は知られている。ミサイル輸出に関与した脱北者の証言などによると、北が中東地域に輸出するミサイルは射程1キロにつき1万ドル程度だという。射程200キロなら200万ドル(2億円相当)という計算だ。北が生産する弾道ミサイルと核弾頭はもちろん、輸出を念頭に置いたものだ。朝総連は北のこの核ミサイル実戦配備努力を誇らしげに宣伝してきた。片や韓国に配置されるTHAADには絶対反対を扇動している。そもそも在韓米軍に対する北と中国の核ミサイル脅威がなかったら、弾道ミサイル防衛対策は必要もなかった。
朝総連と韓統連の宣伝活動は、日本社会向けというより韓国向けだ。韓国内の従北勢力への指令であり、声援だ。朝総連は韓国で起きた、「ロウソク革命」にも露骨に関与した。今も進行中のこの「民衆革命」の背後に朝総連がある。ハンギョレ新聞特派員や韓国から来日した従北勢力が行った講演などに、朝総連が動員されたのは、よく知られた事実だ。「ロウソク闘争」を支援しに訪韓した日本の極左勢力は、以前から朝総連や韓統連と連携してきた。彼らは同時に、中国共産党とも繋がっている。韓国と日本国内の軍事基地建設に反対する活動で見られる朝総連‐韓統連‐韓国の従北勢力と、日本の極左勢力の連携は、中国共産党の戦略的関心を反映している。済州島海軍基地、沖縄の米軍基地など、中国共産党の関心地域で連携活動をしてきた。
朝鮮新報は5月24日、「民団・朝総連の5・17共同声明発表11周年に際して全在日同胞に送る呼びかけ」を掲載した。民族の大義を掲げ、統一の偉業に乗り出すよう強調した。朝総連は、この「要請文」の中で、解放72年が過ぎても、日本で民族的迫害と差別がますます加重されていると主張した。おかしな話だ。朝総連は今まで自分たちが数多くの権利を勝ち取ったと自慢してきた。数多くの権利の獲得と、民族的迫害が加重されているという言葉が両立しうるか。
朝総連が民団の乗っ取りを狙った策動は、2006年が初めてではない。朝総連は1960年代末から郭東儀など平壌で訓練を受けた工作員を利用して、民団乗っ取り工作を展開した。朝総連の宣伝は、破廉恥な話だ。朝総連の民団工作は、労働党の在日党である朝総連の存在目的だ。朝総連が平壌の指令に従い、何度日本で破廉恥な宣伝をしてきたのか、数えられないほどだ。平壌側が南北の間のすべての合意を破棄すると宣言したと伝えてきたのも何度か数えられない。もちろん、平壌側が敵(大韓民国)と合意するのは、形勢が有利になるまで敵を欺くための措置だ。彼らはそれをよく知っている。
南北間の合意破棄の歴史を見ると、「7・4共同宣言」(72年)はわずか1年後に履行停止が宣言された。東西冷戦後にソ連と東欧社会主義圏が消滅するや、金日成と金正日は表面的に階級革命路線を隠し、民族共助戦術を駆使した。南北間の包括的関係を規定した「南北基本合意書」や「韓半島非核化共同宣言」も、当初から守るつもりはなかった。だから無効化や破棄に何度も言及した。
金正恩は、絶対的存在である金正日が金大中と結んだ「6・15共同宣言」や、盧武鉉と交わした「10・4共同宣言」まで白紙化を宣言した。平壌側は米国との合意も破棄し、国連軍司令部と締結した停戦協定も無効と宣言した。
無効化破棄宣言の主体(名義)は、祖平統、人民軍総参謀部、人民軍板門店代表部、最高司令部、国防委員会など、複数の機関の共同名義だ。このすべては、平壌の指示を受け、朝鮮新報などで大々的に報道してきた朝総連自身がよく分かっているはずだ。国際社会も知っている。平壌側といかなる合意をしても、北側に不利になればいつでも破棄されることを。だから国際社会の対北制裁は強化されている。金正恩体制への制裁の選択肢は、もはや追放とレジーム・チェンジしか残っていない。
(つづく)


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