朝総連衰亡史(41)朝総連こそ清算されるべき韓半島の積弊

日付: 2017年05月19日 19時47分

 平壌の労働党と朝総連が、文在寅の大統領当選を喜んでいる。朝総連機関紙の朝鮮新報5月15日付は、「ロウソクが積弊に勝った」というタイトルで、文在寅の当選を報道した。5月9日の夜、選挙結果が判明して6日後のことだ。この記事を、朝鮮新報の5月12日付は報道しなかった。平壌の指示が来るまで報道できなかったのだ。朝鮮新報が労働党機関紙の日本版であることを立証する立派な証拠だ。
朝鮮新報が伝えた朝鮮中央通信の報道は、「今回の選挙は、傀儡政治史上前代未聞の罪悪を犯した朴槿惠逆徒が、南朝鮮人民の要求によって大統領職から罷免されたことによって、早期に行われた選挙だった」と始まる。なぜこの報道が遅れたのか。答えは明白だ。金正恩こそ人民によって打倒される運命であることを、平壌の暴圧体制の当局者たちも予感しているからだ。もちろん、朝総連の働き手たちも、この記事を誤って扱えば何が起こるか分かっている。
このような単純報道を扱うことがどれほど難しく危険なのかは、15日付の朝鮮新報に現れている。これまで平壤の官営媒体が韓国のニュースを伝える過程で、不本意ながら自らの矛盾と弱点を表わした例は少なくない。朝鮮新報1面の「メアリ」は、「鍵は民族自主精神」という題で韓国の「ロウソク革命」に対して次のように書いている。
「文在寅候補が大統領選挙で圧勝した。彼の就任演説は破格だった。そこには、抽象的な概念や美辞麗句はまったく見られず、徹頭徹尾庶民の心情と指向がそのまま盛り込まれているようだ。権威的な大統領文化を清算し、光化門の大統領時代を開拓し、特権と反則のない世の中、常識通りやってこそ利益を得る世の中を作る、安保危機を解消し、分裂と葛藤の政治を変え、財閥改革の先頭に立つ、何よりも約束を守る率直な大統領、疎通する大統領になりたい。…『不通の女帝』だった前任者とは逆に『翻訳が要らない』公約だった。(後略)」
しかし、メアリのこの記事は、首領主義を批判したものとも捉えられ、厳重に批判されるべき記事だ。そもそも、抽象的概念や美辞麗句は、労働党とその在日党である朝総連の、宣伝事業の基本だからだ。
指導者を修飾する単語は、厳密に規定され、徹底して遵守されねばならない。「太陽節」と「光明星節」と、今はミイラになってガラス管の中にある首領たちへの美辞麗句は、単なる賛美ではなく、宗教的次元で絶対化されている。人類史上、個人の神格化の最も極端な例だ。
主体思想と元首様に対する説明と表現は、党員なら全部暗記せねばならない。これを外国人に説明するには、専門的解説と通訳が必要だ。
金氏王朝で庶民(=人民)は奴隷だ。この奴隷は主人が命じればいつでも命を捧げねばならない。自爆精神こそ奴隷に求められる基本姿勢だ。人民は真冬でも首領の銅像に捧げる花を用意せねばならず、革命歴史を学ぶ学習室を管理し、肖像画や銅像を掃除する道具も特別なものでなければならない。幹部も奴隷であるのは同じだ。特別供給を受ける特権を持つ奴隷にすぎない。
首領と朝鮮労働党の権威に挑戦すれば、奴隷は殺される。「唯一思想10大原則」に少しでも抵触すれば、金日成の娘婿でも容赦なく処刑だ。特権と反則のない世の中、常識通りやれば利益を得る世の中などと書いたメアリの筆者は、さりげなく「主体の共和国」を批判・糾弾したとしかいえまい。朝総連は、自分たちこそ北をよく知っていると自慢してきたが、もうそうは言えない。韓国に入国した脱北者の数は朝総連より多い。彼らが公開した証言だけでも、朝総連の北に関する嘘はもう通じない。日本語でも放送され始めたYouTubeのべナ・テレビ(www.benatv.com)を見るだけで、北の事情は全部分かる。
実は、文大統領当選は、韓国内の従北勢力による政変の第2幕だ。そして今、政変の3幕が始まる。この政変と朝総連がどう関連しているかは、次の機会にし、メディアが伝えていない大統領選のもう一つの戦いを少し紹介する。朝総連の対南工作に関する事項であるからだ。
今回の選挙では、これまで平壌と従北勢力が聖域にしてきたものが、ほとんど崩れた。5・18光州事態、北韓解放、金正恩の除去、北核に対応した韓国の核武装などは、今までの韓国ではタブーだった。このすべてが崩壊した。朝総連60年間、謀略工作の最高の成功作だった1980年の「光州事態」の本質も、内外に知れ渡った。      (つづく)


閉じる