先週、マレーシア政府と平壌側が金正男暗殺事件を収拾する措置を取った。マレーシア政府としては、平壌駐在の外交官が北側の人質にされており、自国民救出のためのやむを得ない妥協だった。平壌は事件発生直後から、暗殺は韓国とマレーシアによって捏造されたものだと主張していたが、金正男の遺体が北側に引き渡された後、案の定、北側の仕業ではないという宣伝が再開された。朝鮮新報はこれを忠実に伝えている。今後も金氏王朝が存続する限り、この宣伝は続くだろう。
金氏王朝と朝総連の70年近い宣伝は、いつも逆に解釈すれば当たってきた。個人崇拝・神格化から、テロなどの国家犯罪に至るまで、今まで彼らが宣伝してきたことはすべて嘘であることを全世界が知っている。平壌当局と朝総連がいかに破廉恥な集団なのかは、彼ら自身が証拠を作ってきた。
朝総連が在外同胞団体ではなく、平壌の謀略機関であることは、労働新聞や朝鮮新報の記事を数日間見るだけで十分わかる。
朝総連の許宗萬議長は、新年の挨拶を通じ、「2016年は、祖国の歴史と在日朝鮮人運動の歴史において永遠に記録される、まことに意義深い年でした。祖国では36年ぶりに朝鮮労働党第7次大会が開催され、敬愛する金正恩元帥は全人民の絶対的な支持の中で、朝鮮労働党委員長に、朝鮮民主主義人民共和国の国務委員会委員長に、高く推戴されました」と言って、労働党の在日党としての姿勢を明確にした。
平壌の労働新聞の2月14日付には、朝総連議長許宗萬の投稿『偉大な愛国献身の生を忘れられません』という文が載っている。金正日への憧憬を書いたものだ。許宗萬は特に、1999年4月、金正日が下した教示を回顧しながら「核心陣地をよく保存する前提の下、事業方法を改善する問題から新世代との事業、民族教育事業、大会事業に至るまで、総連の全体的な事業方向を自分の立地条件に合うようにうまくやって行くことへの貴重な教えを下さいました」と回顧している。
朝総連の長期的凋落を招いた決定的な原因を、朝総連は今も毎日作っている。朝総連は平壌の指令に盲目的に服従することになっているが、これが致命的な結果をもたらした。
北韓では、いくらでたらめな宣伝や教育をしても、長い間、外部との比較が不可能な閉鎖体制だったため、住民を欺くことができ、住民たちの疑問と反発と抵抗を暴力で抑えられたが、日本では不可能だ。
朝総連の全員が、文字が読めず、音を聞けないならいざ知らす、あるいは何の情報機器もないところに監禁でもしておかない限り、目に見えるあらゆることが、平壌の宣伝が嘘であることを教えてくれる。
世界中の常識となっていることを、懸命に嘘で否定して宣伝しても、最初はある程度の効果があるかもしれないが、決して長く続かない。今は誰もがコンピュータやスマートフォンで、北の犯罪を証明する証言や科学的資料を見られる時代だ。
朝総連が平壌の指示で偽りの宣伝をした歴史を見れば、北側が何を最も隠したがっているかが分かる。
朝総連の教科書は、今も6・25戦争は、米国と李承晩の北侵であると教えている。金日成は、主人であるスターリンと毛沢東の支援を得て起こした戦争が、韓半島の歴史上最も残酷な結果をもたらしたことを隠すため、必死に北侵説を主張する。だが、同族を大量虐殺した戦犯である事実には時効がない。時が経つほど、明確に記録されるだけだ。
ところで、北侵説の最も致命的弱点は、歴史学者の論文と研究に表れているのではない。あの戦争を通じて北韓住民の4分の1以上が南に来たという事実だ。金日成は南侵の時、南韓の占領地から多くの人材を拉致せよと、組織的な大量拉致を指示した。北からの数百万の越南者こそ、北侵説が偽であることを物語る。
最近、朝総連は韓国の「ロウソク革命」を宣伝しているが、この宣伝も遠からず崩壊する。
金日成と朝総連が主張する謀略の一つが、光州事態を南朝鮮民衆の蜂起であると宣伝し、記念することだ。ソウル五輪後の韓国社会の左傾化によって、政治的な取引で光州事態を「民主化運動」としたが、今やその偽りはほとんど明らかになった。卑劣な人間たちが、民主化といえない罪を犯した者が、地方自治体と癒着し、偽の国家有功者になり、国民の税金を吸い取ってきた。37年前に200人ほどだった連行者は、今や5000人以上の有功者に膨れ上がった。(つづく)