今回の選挙は弾劾罷免された大統領の後任を選出する選挙だ。ところが、朴槿惠大統領の罷免は、5年任期を保障した憲法84条を踏みにじった国会のクーデターだ。憲法裁判所は、憲法違反を具体的に摘示できず、刑法上の権限を乱用して判決を下した。憲裁が国会独裁を許したのだ。憲法の三権分立の原則は否定された。大統領を弾劾したのではなく、大韓民国の体制を弾劾したのだ。
国会は訴追過程と手順で、憲法を完全に無視した。厳正な調査や証拠もなく、まず弾劾訴追後、特検に証拠収集を要求した。特検も憲法と法律に違反した。憲法裁判所は違憲状態で、真相が明確になる前に急いで審理を終結した。検察は、罷免された大統領に対して憲裁も認めなかった賄賂罪を適用して拘束令状を請求し、裁判所は逃走と証拠隠滅の憂慮がないのに拘束令状を発行した。大統領に逮捕状を発行した司法府は、暴力デモの主導者として指名手配され、9年間の逃走の末に逮捕された者は拘束しなかった。 大韓民国の裁判所は、前大統領の人権と権利を、スパイや一般刑事犯よりも軽く見た。これは「刑事被告人は有罪の判決が確定されるまでは無罪と推定される」と規定した憲法27条(4)を完全に無視したものだ。
弾劾を主張したロウソク勢力は今、朴槿惠処刑を叫んでいる。この勢力の主力は民主労総、全教組など従北左派だ。彼らが主張するのは「民衆革命」だ。国家保安法廃止、李石基釈放、財閥解体、THAAD配置反対、統進党の復権などだ。彼らは当初から大韓民国の自由民主体制打破が目的だったのだ。そして国会は、彼らの力を利用して大統領の権力を奪取した。
今回の選挙の性格はもはや、民衆革命のため証拠を捏造して大統領を追い出した反乱勢力の国体―体制変更の試みを阻止できるかの戦いとなった。今、韓半島の現状変更の歴史的瞬間に、核攻撃からの自衛手段であるTHAAD配置にすら反対し、韓米同盟を否定し、安保を危うくする勢力が出した候補が最も有力な候補だという。
韓米同盟を崩し、大韓民国に領土的野心をもって侵略してきた共産党一党独裁国家に、われわれの子孫の未来・運命を任せるという反逆勢力が跋扈している。法律の専門家たちはもちろん、国際社会も全く納得しない、まるで人民裁判のようなことがどうして韓国で起きているのか。いかなる国も、同盟の選択で失敗したら滅びるという、歴史の教訓を忘れたのか。
検察は、大統領が賄賂を受けた証拠が見つからなかったため、前大統領と崔順実が「経済共同体」という概念を作って処罰するという。「経済共同体」を処罰するなら、祖国の敵と理念を共有する、敵との「理念共同体」こそ国家の敵として厳罰すべきだ。
検察は、大企業が公益財団に寄付したことを大統領への賄賂と主張する。では、これまで公益財団に寄付を求めたすべての大統領や慣行を処罰しよう。
今、国会は憲法と憲法の精神に違反する法律を量産している。既得権層になって自分たちの特権維持ばかりに没頭する国会が、自由民主体制を破壊している。国会議員の多数は内閣制への転換を画策している。あらゆる変則と特権を作った国会は、朴槿惠大統領がこの積弊を改革しようとしたため、彼女を大統領の座から引き下ろした。朴大統領の弾劾は、昨年の「国軍の日」、北韓解放を宣言した直後に始まった。国の反乱勢力は、金正恩の終焉が自分たちの終焉と思ったのだろう。
われわれは72年前、自力で独立できなかった。共産圏に侵略された時も友好国の助けで国土を守り抜いた。今、大韓民国の悪夢となった北の核ミサイル実戦配置も、国連と国際社会ばかりに任せて20年以上の時間を浪費した。
今、大韓民国の理念戦争は解放直後より熾烈だ。平壌の虐殺政権を支持する勢力が国を支配している。この現実を無視し回避して健全な社会、自由民主体制が存続できると信じるのか。
保守といわれた政党は、前回の総選挙で安保問題を無視して惨敗した。今回の大統領選挙は、韓国の国体を否定する従北・反逆勢力から自由民主体制と自由市場経済を守る選挙、つまり体制を守る戦争だ。
今、韓半島の現状変更が国際社会の課題となっている。韓半島の主人公である私たちがこれを無視すれば、韓半島の運命は再び外国によって決まる。今回の選挙は、米国との同盟で平壌の奴隷政権を終わらせ、北韓同胞を解放する指導者を選ぶことが投票基準にならねばならない。奴隷政権を倒さなければ、大韓民国も奴隷体制に従属される。