米上院のテッド・クルーズ上院議員が21日、北韓をテロ支援国に指定するための法案を発議した。米下院では1月に同様の法案が提出されている。上下両院で発議されたことで、米政府の判断は早まるとみられる。
北韓が米国政府からテロ支援国家に指定されたのは1988年。大韓航空機爆破事件がきっかけだった。その後、核開発を放棄するとうたった6カ国協議の合意を受け、2008年に解除されていた。しかし、その後も北韓が核開発を継続し、米国を脅かす言動をとっていることから、再指定の動きは過去にもあった。
08年以降の再指定に向けた試みは実を結んでいない。しかし上院で発議された法案は、金正男暗殺をテロ行為の一つとして明示している。韓国とマレーシア当局者の見解を紹介し、北韓の秘密警察と外務省が、金正恩の異母兄・金正男を、猛毒の神経剤VXを使って毒殺したと強調した。VXは、国連の化学兵器禁止条約で使用が禁止されている。
クルーズ議員は、北韓が昨年だけで核実験を2回行い、20発以上の弾道ミサイルを発射した点を指摘。マレーシアでのテロもあったことから、再指定の可能性は高まっている。
法案はティラーソン国務長官に対し、再指定するかどうかの判断を、議会での通過から90日以内に両院の外交委員会に報告するよう求めている。