朴槿惠大統領弾劾事態の本質は、扇動メディアが企画した「崔順実事態」を利用した政変、つまり野党と検察などが共同で憲法上任期が保障された大統領から権力を奪取した「国会クーデター」だ。これを追認したのが憲法裁判所の罷免政治裁判だった。
現行憲法下の第6共和国は、名目上は大統領制だが実際には国会独裁体制だ。国会が国政停滞の元凶だ。国会がこうなったのは、去る30年間、国会に入ってきた主思派勢力のためだ。
ところが、国民が国会独裁の弊害を知るや、国会は自分たちに向けられる国民的批判と抵抗をかわし既得権を維持するため、韓国社会の隅々に根を下ろした従北左派と力を合わせ、大統領にすべての責任をなすりつけた。
憲法裁判所は、いわゆるロウソク民心の要求に応じて大韓民国の自由民主体制と法治に致命傷を加えた。憲裁の判決は、憲法84条に明記された大統領の在任中の刑事不訴追条項を蹂躙した。憲裁は「国政の空白を最小限に」する」という名分で、法律で規定された180日間の弾劾審判期日の半分だけを使用して大統領を罷免したが、その結果、もたらされたのは極度の国政混乱と憲政秩序、法治の崩壊だ。
特検と憲裁は国会側に不利な証言と証拠は採択しなかった。大統領への国民的怒りに火をつけたJTBCとTV朝鮮の捏造・誇張報道をはじめ、崔順実事件を企てた高永泰などは、制裁も受けず、調査も受けなかった。大企業の総帥は拘束や出国禁止にしておきながら、高永泰の国外逃避を放置したという。
憲裁は大統領の防御権を無視し、崔順実などに対する検事の誤った公訴状に基づいて大統領を罷免した。崔順実などの刑事裁判の結果が憲法裁判所の性急な判断を覆す結果が出たらどうするつもりか。
最も深刻なことは、憲法裁判所が三権分立による牽制と均衡という憲政の基本原則を破った点だ。憲裁は国会の弾劾訴追過程の違法性を国会の自律裁量権として認めた。これは、立法権を独占している国会に対する、行政府と司法府の牽制・監視の役割を放棄・否定した憲法破壊だ。大統領弾劾という重大な事案まで国会の自律と裁量に任せたら、国会独裁を牽制する方法はない。
憲裁は大統領が職権を乱用し、企業経営の自由を侵害したと断罪した。「経済民主化」という奇怪な用語を使って企業活動を徹底的に制約し、「社会主義が答え」と叫ぶロウソク勢力を代弁した憲裁が、企業経営の自由を論じるのは、狡猾な偽善の極みだ。
韓国社会は今、建国以来最も深刻な理念対立、分裂の中にある。弾劾を推進した勢力は、北韓人権法に反対し、開城工団再開で核ミサイルを実戦配備する金正恩政権への支援を主張し、THAAD配備に反対し、国家保安法の廃止を主張する。
第6共和国で「ロウソク」は、民労総に代表される従北左派の政治的主導権掌握手段として固着した。今回のロウソク事態も民労党(統進党)を生んだ民労総が中心となった。組織力と資金を持った民労総の傘下に全教組と言論労組がある。
民労総は、憲法裁判所によって解散された統進党と内乱陰謀で服役中の李石基などの復権を主張。大統領を罷免することで解散劇の復讐をはたした。全教組も法外労組認定に復讐しただけでなく、高校国定教科書も実力で封鎖した。大韓民国は左翼国家になった。
民労総が検閲するマスコミや民衆革命を主張する勢力は、憲裁判決への承服を求めている。主思派勢力が承服宣言を強要するのは、共産党式自己批判であり、彼らの偽りが暴露されることを必死に防ごうとするものだ。
韓国社会は今、教育、文化、労組、メディア、国会をはじめ、検察と司法など国の公権力まで左翼勢力に掌握されている。大韓民国の自由民主主義は憲法に名目上残っているだけで、形式的な法治が残っている。
左翼既得権独裁の国会が決議さえすれば、すべてが正当化され、正義なき裁判で国民が拘束されるのを許す訳にはいかない。われわれは、全体主義ファッショや共産独裁が登場した歴史を覚えている。権力を専横する国会に司法と公権力が従属すれば、自由民主勢力は太極旗の下で、憲法が保障した国民抵抗権行使に出るしかない。
憲裁が大統領を違憲的に弾劾罷免したのなら、もはや国民が憲裁を弾劾するしかない。国会が行政府や司法府の牽制を受けないなら、国民が直接国会を解散して再構成する。
自由民主体制を守るための国民決起、国民抵抗は当然の権利でかつ使命でもある。韓半島で史上初の民主共和国、大韓民国の建国革命はまだ終わっていない。
自由統一に向けた建国革命を否定する勢力との闘争、そのための国民抵抗は正義だ。