北、VXを前線に配備

金正男暗殺にも利用
日付: 2017年03月01日 14時04分

 金正男暗殺事件で、現場となったマレーシアの警察当局は、猛毒の神経剤「VX」が使用されたとする暫定分析結果を発表した。数十分で金正男を死に至らしめたVXは、北韓の前線に配備されたミサイルや砲弾に装填されるという。
韓国の文化日報の報道によると、韓米情報当局は、北韓がここ数年でVX‐2やサリン‐2を前線の砲兵部隊やミサイル部隊などに実戦配備したことを把握しているという。韓国軍当局は、化学兵器を装填した弾頭がノドンなどで発射された場合、グアムと日本全土も脅威にさらされると見ている。
VX‐2やサリンは二元化弾と呼ばれ、毒性を持つ物質を二つに分けて発射直前か発射後に混合する。VXなどの一元化弾に比べて管理・保管や移送が簡単だという。軍当局は、北韓が現在2500~5000トン程度の化学物質を保有しており、すべてを砲弾に転用すれば、ソウル市の4倍の面積を汚染できるという。追加の生産能力は、最大で年間1万2000トンになると推定している。
韓国国防研究院(KIDA)によると、555キロまでの化学兵器を搭載可能なスカッドミサイルを1発ソウルに落とせば、VXは約6600人、サリンは7700人を殺傷できるという。KIDAは、北韓が生物兵器用の病原体を13種保有していると推定している。
韓国の国家情報院は、金正恩の指示を受けた国家保衛部が暗殺を実行したと、国会に報告した。暗殺には北韓の大使館職員がかかわっており、金正恩体制の「国家犯罪」である可能性が極めて濃厚となった。韓国の専門家は、今回の暗殺にも二元化弾の原理が応用されたとみている。


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