ほかの実行犯は平壌に帰還か
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マレーシア警察が公表した(左から)リ・ジョンチョル、リ・ジウ、リ・ジェナム、リ・ジヒョンの写真(写真=連合ニュース) |
金正日の長男で、金正恩の異母兄にあたる金正男が13日、マレーシアの首都クアラルンプールの空港で暗殺された。マレーシア当局は実行犯の女性2人と、北韓の旅券を持つリ・ジョンチョルを逮捕した。一味として男性4人の名前と写真を公表し手配したが、4人はすでに出国し、平壌へ帰還したという情報も流れている。マレーシア当局は、ほかにも別の北韓男性3人の行方を追っているという。
駐マレーシア北韓大使の反応やマレーシアに出稼ぎで滞在していた北韓労働者などが事件に連累している点から見て、そして、マレーシアから4人が緊急脱出したことなどから、この暗殺は金正恩の指令による犯行と見るしかない。
金氏王朝の歴史は、首領の唯一指導体系を確立するための血の粛清史だ。ところが、金氏王朝の粛清史の中でも、首領の地位を脅かしたため処刑されるのはまれなことだ。
粛清・処刑されるほとんどは忠誠心が疑われたケースだ。2013年12月に処刑された張成澤は、その最たる例だ。自らの地位を脅かされかねないと首領に見做され、残忍な方法で処刑された。
北韓はこれまで、脱北者の追跡・検挙などのため中国国内では中国当局の協力や黙認の下、誘拐・拉致・暗殺などを恣行してきた。だが、中国の外にまで刺客を送るのは、ちょうど20年前、韓国内で殺された李韓永(金正男の従兄弟)の事件が有名だ。
核ミサイル開発や人権犯罪のため国連から断罪の対象となった金正恩が、異母兄を外国で暗殺するのは大きな負担であるのに、それでも実行したのは権力基盤に対して不安を感じている反証といえる。
いずれにせよ、金正男暗殺は間もなく北韓中に知れ渡るようになる。金正恩としては最も隠したい金氏王朝の恥部を人民にさらけ出すことになり、権力基盤を一気に不安にさせる材料になりそうだ。今回の暗殺は、国際社会における金正恩の暴悪さを決定的なものにし、対北宥和策を主張する文在寅氏など韓国の左翼勢力にも打撃になる。