朝総連の精神状態は、彼らの機関紙を見ればわかる。平壌の首領主義という全体主義が、人間の精神をどのように破壊するかもわかる。
朝鮮労働党の在日党(朝鮮総連)の機関紙である朝鮮新報は、3日付の1面に、慶北・星州の住民たちが旧正月もTHAADの配備に反対する住民闘争を粘り強く行っていると伝えた。「前政府の政策は無効にし、THAAD問題は次の政府で外交的に解決せねばならない」という星州闘争委員会委員長の主張を紹介している。この記事は、韓国内の従北媒体である統一ニュースを引用したものだ。
ところが、朝鮮新報は同じ紙面で韓国がTHAADを配備せねばならない理由を親切に報道している。上記の記事のすぐ下に「自主強国、核保有国の地位に合うように、対外関係を発展」と謳い、朝鮮中央通信が伝えた今年度の外交方針に関する談話を伝えているのだ。
平壌側の主張は次のような要旨はだ。
「敵対勢力の核戦争脅威に対処した、水爆実験と弾道ロケットの大気圏再突入環境シミュレーション実験、核弾頭爆発試験を成功させたことで、わが共和国はいかなる強敵も挑戦できない東方の核強国・軍事強国という戦略的地位を獲得した」
平壌では、歴史や記録をいつでも変造・捏造するから、それに慣れて自ら矛盾した言動をしても全く自覚しないようだ。朝総連も平壌に盲従するうちに、主体的に物事を考えられないようになる。
平壌側は核問題についてどう言ってきたのか。金日成は生前、北韓は核を開発する意志も能力もないと公言してきた。日本のメディアはこれを忠実に報道した。
平壌側は金日成の死後、同盟の中国にまで、「非核化の実現は、故・金日成主席の遺訓」と言い、「二者や多国間対話を通じて非核化の目標を実現する用意がある」と言ってきた。さらに核実験後も、国連で「われわれは一度も朝鮮半島と世界の非核化を拒否したことがない」、「非核化は金日成主席の遺訓であり、核兵器のない世界は人類社会の長い念願」と詭弁を弄した。
金正日も中国側に、非核化の目標を追求し、韓半島の平和と安定のため努力すると言い続けてきた。もちろん、このすべては北側と中国共産党が国際社会に向けてうった芝居だったことが今は明らかになった。
ところが金正恩は今、核武装が首領たちの遺訓だと言い張っている。朝総連は意識的に自分たちの記憶を消す「集団的健忘症」を選択している。時と場所によって平然と嘘をつく北韓に対して、国連は制裁を強化してきた。
繰り返して言うが、朝総連の集団的な健忘症は意識的な選択だ。これは日常化し、彼らの自我を破壊している。その一例を見てみよう。
朝鮮新報2月6日付は、「右翼団体を動員して親政府デモ企図」とい題目で、青瓦台の指示があったことを関係者が暴露したと報道している。この記事を見れば、「当局」が指示・動員するデモは悪いという、本当に呆れる主張である。
これまで組織動員力を誇ってきたのは誰なのか。全社会・全組織を徹底的に動員せよと、年間365日の動員・決起を強調するのは朝鮮労働党、そして労働党の在日党である朝総連ではないか。一日も欠かさず総決起を呼びかけ、戸別訪問を強調してきたのは、朝総連自身ではないか。現に、朝青と韓青を朴槿惠大統領弾劾デモに動員したのは、朝総連と韓統連自身ではないか。
朝総連の機関紙の2月3日付1面には、「愛国衷情の本態を続けて輝かせよう」というタイトルで、総連本部の委員長、支部委員長、主要な中央団体の責任者の合同会議を報道している。1月27日、朝鮮会館で金正恩が新年辞で提示した「今年の事業に総決起することを目的として」開催された。やはりこの行事も総決起を強調している。ここに動員されて登場する朝総連の活動家たちは、暴君に盲従する自分たちの記録を、今後も続けて残すべきかをよく考えてほしい。
野蛮な全体主義体制では、抵抗者は容赦なく粛清される。ところが先週、まさに金正恩のバリアーだった秘密警察・国家保衛部の金元弘がついに粛清された。金元弘が粛清された事実は3日、韓国当局によって公開された。日本のメディアもこれを報道した。もちろん、朝総連は金元弘とその部下たちの粛清や処刑など報道しない。ところで、朝総連は金元弘の粛清を内心歓迎しているだろうか。(つづく)