板挟みとは「二つの立場の間に挟まってどちらにつくこともできない苦しい立場に立つこと」(広辞苑)である。二枚の板に挟まれて身動きが取れない状態から転じた▼「板挟み」で英語の例文を引くと「be torn between A and B」と出てくる。AとBに引き裂かれる、という意味だ。同じ状況を言い表す表現だが、片や押し挟まれ、片や引き裂かれというのがおもしろい▼韓国語では何というかと調べてみたところ、「間に挟まれる」という言い方はあるものの、一単語でこれといったものはない。しいて言えば「進退両難」ということになろうか▼挟まれようが引き裂かれようが前後を断たれようが、進退に窮している状況は変わらない。先日、釜山の少女像に対して撤去を求めた民団の呉公太団長も、賛否両論の中で板挟みにあっていることだろう▼近年、アドラー心理学が脚光を浴びている。2013年に発刊された「嫌われる勇気」は、ベストセラーになったこともあり、多くの方がご存じだろう▼アドラー心理学のエッセンスは数多くあれど、そのうちの一つに逆境が成長を促すという趣旨の記述がある。長い間逆境に置かれていた在日韓国人に成功者が多いということと、無関係ではなかろう▼ところで、「嫌われる勇気」は韓国でもベストセラーとなった。過去に起きた事実は変えられないが、その意味付けは変えられると説いたアドラーから、韓国の読者は何を学んだのだろうか。互いの成長のため勇気を持つことが求められていよう。