トリアージ。災害や大規模な事故などで一度に大量の救急患者が搬送された際、医療機関などで救命措置の優先順位を決めることを指す。この概念が生まれたのは戦場。考案者はナポレオンだったという▼現在広く普及しているトリアージにおいて、最初の判断基準は歩けるかどうかだ。歩ける傷病者なら、治療は最も後回しになる▼次に見るのが呼吸の有無。呼吸がなければ気道を確保し、呼吸があればその回数を、次いで血液などの循環を見る。最後に意識レベルを確認して4段階で優先順位を決める▼タグの色は4つ。赤、黄、緑の順で処置が施される。歩ければ緑、意識があるなら黄色といった具合である。黒のタグは、救急処置を施しても助かる見込みが少ないということを意味する。事実上の死亡扱いだ▼医療以外の分野においても、どの課題を優先的に解決するかを見極め、適切に対処することが重要になる。会社経営しかり。国家運営は言わずもがなであろう▼韓国には取り組むべき課題が山積している。安全保障や経済、外交など。細かく見れば、それこそきりがない。一刻も早く有効な手立てを講じなければならないのに、医師は不在だ▼ナポレオンの時代から約1世紀、戦場におけるトリアージでは、敵軍の兵士も対象に含まれ、多くの命が救われた。人道に配慮しているという宣伝の側面があったためだが、国家運営にあたっては外国を頼ることなどできまい。韓国は黒いタグを貼られる前に、自力で局面を打開するしかないのである。