国連は10月27日、北韓の人権蹂躙を国際刑事裁判所(ICC)に付託して責任者を処罰するように勧告する内容の総会決議案を確定した。日本と欧州連合(EU)が主導して作成した北韓人権決議案は、この日の国連総会第3委員会に上程されており、国連の全加盟国に回覧されて共同提案国の追加受付をした後、12月初めに国連総会本会議に上程される予定だ。2005年から昨年まで11年連続で北韓人権決議案を採択した総会が今年も決議案の採択を推進するのだ。特に今年の決議案は、「金正恩の反人道犯罪」を国際法廷で裁く問題が公の場で議論されているなど、国際社会が金正恩の人権犯罪に対して深刻さを共有し、解決の意志を見せている中で行われるという点で注目される。今年上程された国連北韓人権決議案は、公開処刑の問題をはじめ、政治犯収容所内での監禁、虐待、拷問、強姦、海外労働者の強制労働、脱北者の強制送還、外国人拉致などを人権蹂躙の代表的な事例として列挙した。このすべての反人道犯罪の責任者として、いわゆる「最高指導者」を明記して金正恩が、北韓内のすべての反人道犯罪の元凶であることを明確にしている。実際に金正恩の反人道犯罪は「首領絶対主義」と「ウリ式社会主義」の下で昔から強行されてきたものである。問題は、2011年12月、金正日の突然の死の後に登場した金正恩の恐怖政治、つまり「断頭台統治」が反人倫の極端を走っているという点である。これまで処刑された北韓の党及び行政・軍の幹部だけで100人を超え、今年だけで60人以上が公開処刑されたという報道もある。特に張成澤・党行政部長の高射砲処刑と剖棺斬屍(罪人の死体を墓から掘り出し、首をはねること)のような火炎放射器による殺害は、万人の公憤を駆るに十分だ。また叔父にあたる張成澤を殺したのは、金正恩の悪魔性を感じさせる部分でもある。最近、国際的に話題になっている海外北韓労働者の問題も、北韓体制の「奴隷社会」的特性をよく表している。組織的な賃金搾取と、その金を金正恩の秘密資金に転用したのは、北韓の住民をエンボリ(脅されて盗みを働く子ども)奴隷として扱い、継続的な虐待と恐喝を加えてきた明白な人権犯罪である。要するに近年、北韓の人権状況は、前国連北韓人権特別報告官のマルズキ・ダルスマン氏が指摘したように、国家犯罪、すなわち「反人道犯罪」(crime against humanity)の段階に達した。だから国連総会は、2014年以来、安保理のICC付託を勧告し続けているのである。 悪名高い独裁者の悲惨な末路はよく知られている。「バルカンの屠殺者」と呼ばれたミロシェビッチは、コソボ紛争での民族浄化指示などの疑いで旧ユーゴ戦犯裁判所に付託され、オランダのハーグの刑務所で宣告を待っている間に心臓発作で獄死した。ルーマニアのチャウシェスク、イラクのフセインも法廷でそれぞれ銃殺と絞首刑を宣告され、悲劇的な最期を迎えた。 30代前半の支配者である金正恩が、このような歴史的事実を教訓とするならば、血の粛清で綴られた鉄拳統治を自ら止めるだろう。しかし、まだ「年齢コンプレックス」に捕らわれている金正恩にそれを期待するのは難しそうだ。 だから、北韓内の人権蹂躙を終息させ、住民の生活を改善するためには、金正恩のICC提訴が避けられない。安保理は2014年と2015年の二度にわたって討議を開始した。もちろん、現在のICC付託手続きと国際政治の力学関係を見ると、金正恩をICCに提訴することが難しいのは事実だ。にもかかわらずこれを提起し続けて公論化するのは、北韓内の人権蹂躙を早急に止めなければならないからだ。したがって、1次責任者である金正恩だけでなく、これを黙認・幇助する行為者も処罰の対象であることを明らかにし、最後まで追跡して司法断罪が必要であることを世界市民に喚起しているのである。北韓政権に対する圧力効果の面で、これより優れたものはない。また、このような努力の蓄積は、金正恩をICCで断罪する日を早めるなど、目に見える成果につながるものである。 最近は若者たちがこのような国連の動きに応え、反人倫的支配者を文明社会から退出させることに参加、力を与えている。非政府組織「ノーチェーン」は、米国ホワイトハウスのウェブサイトを介して「金正恩ICC提訴請願運動」を展開。北韓の人権弾圧の最高責任者である金正恩の法的責任を追及するため、米政府がより積極的に介入するよう促している。国内でもある大学生の人権団体が「北韓人権週間」を宣言し、金正恩ICC提訴キャンペーンを行ったことがある。 現在、米国・EUなど主要国の役割が再び注目されている。安保理の介入レベルを高め、中露の消極的な態度を変えるための外交努力を強化しなければならない。この際に、金正恩のICC提訴問題について韓国人社会と海外同胞のメディアに関心を持っていただきたいと思う。関心と行動は、新たな歴史を作る動力になるからだ。
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