労働者派遣も制裁か

北の資金源 抜け穴遮断へ
日付: 2016年10月19日 00時00分

 米政府のラジオ放送「ボイス・オブ・アメリカ」(VOA)は14日、米政府が現在、北韓の海外労働者派遣を制裁対象にすべく検討中だと伝えた。米国務省のカティーナ・アダムス東アジア太平洋担当報道官はVOAとのインタビューで、労働者の海外派遣で得た外貨は、北韓の核兵器やミサイル開発に役立っていると指摘。「政府は、北の労働者の海外派遣に対する制裁を課し、圧力を加えられる権限を財務省に付与してある」と述べた。
北韓の労働者派遣は、今年3月の国連安保理制裁から除外されていた。北韓は現在十数カ国に労働者を派遣しており、賃金の大半を搾取して本国に送金しているといわれる。外貨遮断の抜け穴と指摘されてきたが、米国が国連に先行する形で制限を加えることになりそうだ。
外国での外貨稼ぎはかつて、北韓の労働者にとってあこがれだった。報酬の大半を取り上げられても、家族に仕送りができる程度の現金は渡されていたという。派遣してもらうために賄賂を使う人もいたようだが、今はやや事情が異なっている。危険な作業や重いノルマが負担となっているといわれる。
中国では今年4月、北韓運営の食堂で働いていた女性ら13人が韓国に逃れる事件が起きた。今月11日には、ロシアのサンクトペテルブルクで働いていた労働者10人弱が、8月に集団で脱走する事件が発覚した。
労働者らは、劣悪な労働環境についても話しているという。米国は労働者への人権侵害もまとめて情報発信していく考えを示している。


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