リオパラリンピックが折り返しにさしかかっている。回を重ねるごとにパラリンピックも注目度が高まり、選手たちのアスリートとしての側面にスポットが当てられるようになってきたのではないだろうか▼大会前、ある言葉が巷をにぎわせた。オーストラリアのコメディアン兼ジャーナリストのステラ・ヤングさん(故人)が使いはじめたという「感動ポルノ」だ▼簡単に説明すれば、障害者が健常者を感動させるための道具として利用されることである。意図的であろうがそうでなかろうが、健常者が障害者をそういう目で見てしまうことは多々ある。ヤングさんの指摘に改めて気づかされたことは多かろう▼在日韓国人も似たような経験を持っているかもしれない。還暦を過ぎたある男性が「カッコつきの『良心的日本人』」という言葉をよく使っていた。差別されている在日韓国人はかわいそう、という先入観で見られることが、少なからず不快だったようだ▼ヤングさん風にいうなら、さしずめ「同情ポルノ」とでもいおうか。これを朝鮮総連は逆手にとり、日本で同調者を増やしていった。彼らの”親玉”である北韓も、国際社会から理不尽な制裁を受けているから発展できないそうだ▼この「同情ポルノ」の揺り返しが、昨今の在日韓国人に対する執拗な攻撃の一因とはいえないだろうか。かつて差別を受けたという事実はあっても、それをはねのけて多くの在日韓国人が社会の一員として普通に暮らしている。「同情ポルノ」など、もういらないのだ。