前号の本紙で、在日韓国人が8月15日をどう捉えているかを紹介する記事が載った。日本各地のみならず、韓国でも8月15日の式典は祖国解放を祝うものとなっている▼一方、日本では、8月15日は終戦記念日である。原爆や大規模空襲をはじめ、戦争で犠牲になった人々の霊を慰めるとともに、不戦の誓いを立てる日である▼韓国と日本の温度差に多くの在日韓国人は戸惑っていた。8月15日を祝うべきなのか、厳かな気持ちで迎えるべきなのか▼本紙が強調してきたように、8月15日を、建国記念日として祝おうという動きが韓国で広まっている。45年の解放から3年後、大韓民国は建国した。現在は神話に基づいて10月3日が対外的な建国記念日となっているが、それを8月15日にしようというのだ。同じ日でも国や時代によって捉え方が違うのは当然だろう▼つい先日も、同じような日があった。防災の日だ。1923年の関東大震災発生日である。おそらく地震発生から数年は、慰霊の日だったに違いない。それが1960年に記念日として制定されてから今日まで、避難訓練を行い、緊急時への備えを確認する日となっている▼9月1日は、在日韓国人にとっては今も慰霊の日だ。震災直後の混乱の中で、無辜の同胞が命を奪われた。毎年、東京やその近県で行われるささやかな慰霊祭に、少なからぬ日本人が顔を出す▼いつかはみなが同じ気持ちで8月15日と9月1日を迎えることができるのか。同じである必要はないが、深く考える意味はありそうだ。