今年3月3日に制定された「北韓人権法」が、9月4日に発効した。文字どおり、北韓住民の人権保護とその増進を目的とした法だ。
同法は2005年に発議されたが、左翼政権や従北勢力などの執拗な反対・妨害のため、成立は米国と日本より大幅に遅れていた。同法は、北韓人権増進基本計画と執行計画の樹立(第6条)や、北韓人権実態に関する調査・研究(第10条)を義務づけ、毎年国会へ報告するように規定している。
国務会議で8月30日議決された北韓人権法施行令は、「北韓人権記録センター」と「北韓人権財団」の設置・運営を柱としている。人権記録センターは脱北者からの聞き取りなどを基に人権侵害の事例をまとめる。まとめられた資料は法務部に設置された人権記録保存所に移され、後に司法的措置のための資料にもなる。
北韓人権記録保存所はすでにソウルに設置された国連の北韓人権事務所とも連携することになる。問題は、同法が適用対象を「軍事分界線以北地域の居住者」としていること。従北勢力が法制化過程で意図的に縮小させた結果だ。
北韓住民の人権侵害を調査・収集することに関する方法や手続きは、同法施行令(第14条から17条)に規定されているが、実効性のある結果を生むためには関係機関の熱意と協力が必要だ。しかし統一部は最優先課題である「北韓人権実態に関する調査・研究」が始まる前に、「共同体基盤助成局」の新設を進めている。同法施行の主体としての自覚が疑われよう。
専門家は韓国当局に対し、朝総連の罪科を見逃してはならないと指摘する。北送事業をはじめ、「朝鮮労働党の在日党」として北韓住民の人権弾圧に積極的に加担してきた幹部たちの悪質な行動も、収集・記録されなければならないとの主張だ。