「忠誠競争」呼ぶ恐れ

対南挑発の可能性も
日付: 2016年09月07日 09時00分

 北韓で今年に入って公開処刑された人がすでに約60人と伝えられている中、韓国の統一部は8月31日、7月末に金勇進教育担当内閣副総理が処刑されたと確認した。金勇進は金日成大学副総長などを歴任した教育分野の専門家で、6月末の最高人民会議で金正恩の演説中に、眼鏡を拭いていたことが指摘され、国家保衛部の取り調べを受け「宗派分子」とされて処刑されたという。金正恩は権力を承継後、張成澤や人民武力部長の玄永哲をはじめ、労働党や軍の高官たちを数多く処刑し、同時に連座制で数多くの人を粛清してきた。最近相次ぐ北のエリートたちの脱北や帰順は、この恐怖統治からの脱出だ。韓国当局はまた、労働党の対南工作責任者である党統一戦線部長の金英徹と宣伝扇動部第一副部長の崔輝が、「革命化処分」(思想再教育)を受けたことも確認した。金英徹は約1カ月の革命化を終えてすでに復帰した模様で、彼が自らの過誤を返上するため対南挑発に出る可能性がある。

正当な理由なき処刑 不気味な金英徹の復帰

 平壤の内閣副総理の処刑は、米国政府が金正恩を人権犯罪者として規定した後も、残虐な公開処刑を続けているという点で体制の不安定さを内外に一層印象づけている。
金氏王朝の暴圧体制を維持してきた労働党などの高位幹部や自分の側近を処刑する金正恩の残忍・異様さは、もはや病的レベルというしかない。
金正恩が権力承継の初期に、李英浩総参謀長や張成澤を粛清したのは、自分が任命しなかった危険分子、つまり「唯一指導体系」への挑戦者になる可能性を除去する意味があったといえるだろう。
だが、粛清者の多数は、理念や路線、業務能力や実績などと関係なく、些細な姿勢や態度を理由に粛清・処刑されている。人為的な世代交替と見る専門家もいるが、新たに起用された者もいつ粛清されるか恐怖に駆られては世代交替の意味がなくなる。駐英北韓公使脱出のような事件は、これから増える以外にない。
金英徹の「革命化処分」は、金英徹が統一戦線部の資金難から党39号室の資金源に手を伸ばしたのが原因だったという噂が伝えられるが、いくら対南工作のためだったとはいえ、1カ月ほどの革命化という軽い処分で終わったのは異例だ。
金英徹は現在、労働党政務局の対南担当副委員長(旧・対南秘書)で党統一戦線部長を兼ね、偵察総局を指揮する。労働党に1966年「対南秘書」の職制ができてから現役大将がこの職に就いたのは、1968年、朴正熙大統領を殺害するため特殊部隊を送った許鳳学(当時、対南事業総局長)以来、金英徹が2人目だ。
「対南事業総局」は第2の「6・25南侵」のための組織だった。そして、SLBMなど核兵器体系の完成を急ぐ金正恩にとって、「偵察総局」は対南非対称武器であり第2の「対南事業総局」だ。金英徹の復帰が不気味と受け取られる理由である。


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