瞻星臺=編集余話

日付: 2016年08月31日 11時19分

 AI(人工知能)の発達によって無くなる仕事というリストをご覧になったことがある方は多かろう。新聞記者もその一つ。小欄からすれば、機械に何ができるかと対抗意識を燃やしつつ、絶対にできるわけがないと根拠もなく否定したりする▼先日、米国から驚くべきニュースが伝わってきた。元米空軍大佐が、人工知能との模擬戦闘で惨敗したというものだ。人工知能を操るハードは35ドル。パイロットの育成にはその10万倍以上のコストがかかるというから、今後は現在ある無人爆撃機に加え、無人戦闘機が前線に投入されることになるだろう▼毎日新聞の報道によると、イスラエルでは自動運転の軍用車が実戦配備されたという。技術的には標的を自動で攻撃することも可能らしい。各国の軍もAIの導入に前向きだ▼AI同士の戦闘が主流になれば、戦争へのハードルはグンと下がる。何せ、少なくとも攻撃する側の人間は命を失う恐れがないからだ▼ならいっそ…と思う。いっそ人命被害が出ないよう、誰もいない砂漠や仮想空間でAIを戦わせてはどうかと。将来的には月や火星でもいい▼こんな荒唐無稽な想像をしてみたくなるのも、昨今の情勢を憂えばこそ。私たちの平和は、決して盤石ではない。38度線の北には、今この瞬間も理不尽に命を奪われている人がいる▼統一した韓半島を夢想したい。この大きな夢ですら、AIなら叶えてくれるかもしれない。だがわれわれ人間にもプライドがある。統一まで機械に頼ってはいられない。


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