崩れた韓国当局の判断
北韓は24日早朝、東海岸の新浦沖で潜水艦からSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)を1発発射した。SLBMは北韓が開発に力を入れている戦略兵器体系だ。
韓日防衛当局によると、「KN11」と呼ばれるミサイルは東海(日本海)に設定された日本の防空識別圏内に落下。専門家たちは、今回の実験で500キロを飛んだことで、北側のSLBM発射能力は立証されたと認める。朝鮮中央テレビは発射翌日の25日、発射の様子を収めた動画を公開。「成功中の成功、勝利中の勝利」などといった金正恩のコメントと、実験に立ち会った様子も紹介した。
今回、北側が発射を誇示したことで、内外の関心は北側がこのSLBMを運用できる核潜水艦をいつ頃保有するかに移った。現有のディーゼル潜水艦では、韓国側の反撃から逃れられず、2回目の攻撃ができなくなるためだ。
今回のSLBM発射は、時期的に韓日米をけん制する目的もある。韓米合同訓練が22日に始まった2日後で、同日には東京で韓日中外相会談が開かれる日だったからだ。
平壌の媒体は、ミサイルが太平洋と米本土を射程に収めていると強調した。専門家の分析によると、ミサイルは通常よりも高い角度で発射された。今回の飛距離500キロは韓国全土が射程に入り、角度を調節すれば最長で1000キロとなるとみられる。駐日米軍基地や日本のほぼ全域を射程に収めることはできる。
韓国社会は、当初2020年ごろと予想してきた安保当局の判断が根底から崩れたことから、北側の核兵器体系の実戦配備宣言が、来年にもありうると覚悟する雰囲気だ。保守勢力を中心に、実効性のない国連安保理の糾弾声明などに頼ってきた政府の無事安逸の姿勢への不満は爆発寸前になっている。
また、このような状況でも、THAAD配備に反対する「共に民主党」などに対する保守右派の不信感は増幅している。平壌側から来年の大統領選挙に向けての対南攪乱指令が従北勢力に下されていることから、左右の間で安保問題を巡っての攻防が早くも始まっている。
北側の核武装が表面化してから25年経つまで有効な阻止対策も自衛措置も講じられなかった国際的な仕組みへの不信は、既存の秩序に対する否定につながりそうだ。いずれにせよ、中朝が触発した軍拡競争は避けられないようだ。