韓国、独自の核武装論

次の北核実験後、すぐにでも
日付: 2016年08月15日 08時15分

 「北韓の核、ただ眺めているだけなのか」。4日、国会で開かれた討論会の主題だ。93年、北韓が核兵器不拡散条約(NPT)脱退を宣言したのを皮切りに本格化した核武装。国際的な対策は打たれたが、進展はなかった。逆に北韓は、その間に核開発の時間を稼いだ。主催者の元裕哲議員(セヌリ党)は、「既存の対応方式では、北韓の核問題を解決することはできない」と、討論会の開催理由を説明した。北韓の核の脅威を頭上に抱える韓国の選択肢は?(ソウル=李民晧)

討論会で発言する元裕哲議員(右端)
議員ら、新たな対応模索

「核トリガー宣言を」
会話、制裁、抑制。北韓の核の脅威に対する韓国の対応方法だ。金泰宇・建陽大学軍事学部教授(元統一教育院長)は、「この3つのいずれかを選ぶオプションではなく、並行しなければならない」と主張。「このうち抑制は、軍事的に国家と国民を保護するので、核の脅威が消えるまで継続されるべきである」と説明した。
北韓の弾道ミサイル発射実験は、今年に入ってから17回(8月3日現在)に達する。北韓が核兵器の実戦配備に必死になっている傍証だ。金教授は「核を持つ国と持たない国では、互いに戦争の概念が成り立たない。核のない方は、屈従するしかない」と指摘した。
韓国はすでに北韓の「核の恐喝」にさらされている。天安艦爆沈攻撃を受けた時にすぐに報復せず、当時の軍統帥権者だった李明博・前大統領は反撃命令を出さなかった。その背景には、核をはじめとする北韓の大量破壊兵器の存在が挙げられる。北韓の44倍の経済力を持つ韓国だが、軍事的抑止ができているとはいいがたい。
では、韓国の対応策は何があるだろうか。金教授は、現在の韓国軍が設定した「先制」(キルチェーン)と「ミサイル防衛」(KAMD)に重点を置くより「報復力を補強するのが緊急の課題」と判断する。いくら高精度・高性能の機器があっても、北韓のミサイルをすべて防げるという保証はない。
金教授が提示する韓国の生存戦略は、「能動的抑制」と「懲罰報復」を中核とする「懲罰的抑止」だ。北韓の核の脅威が高まっている最後の段階となった今、「米国の同盟政策とは無関係に韓国自ら核武装に乗り出さなければならない」と主張している。
元裕哲議員は「核トリガー宣言」が必要だと明らかにした。
「北韓が5回目の核実験をするなど、挑発水位を上げるなら、韓国も自動的に核武装を推進する」
「一時的」、「国際社会の了解」という前提を付けたが、北韓の核の脅威を主導的に解決しようという主張だ。

移動式発射台開発も進む
SLBMの発射実験に立ち会った金正恩
「作らざるをえない」
宋大晟・前世宗研究所所長は、韓国が独自の核武装をする理由を次のように説明する。
「国際社会では、北韓を事実上の核保有国と見ている。核弾頭を実戦配備していると見て、対策を講じなければならない状況だ。北のミサイル実験は、花火ではない。韓国は『韓半島の非核化』という贅沢を捨てて、現実を直視しなければならない」
宋前所長は、北韓が今年末までに非核化しない場合は、来年1月1日付で、韓国も核開発に入ると宣言しなければならないと主張している。宋前所長は、5段階の解決策を提示した。まず、北韓が核を廃棄すること。最良の方法であるが、北韓が核を放棄する可能性はない。第2に米国から対応のための核を入れること。それができない場合、第3の策として中国かロシアにでも貸してもらうこと。それでもだめなら国を問わず買い入れる。それさえも妨げられた場合、最後の手段として韓国自ら核兵器を作る。生存のための避けられない方法だと宋前所長は主張する。
申範澈・外交部政策企画官は、「核の脅威が高まっているのに、南北交流にこだわるのは、かえって北韓に悪用される」と述べた。申企画官は、「北がやり方を変えるように制裁と圧力を加えなければならず、その効果を倍加する国会のサポート、国論の結集が必要だ」と主張した。
金泰宇教授は韓国の安保を阻害する要因として、韓国内部の問題を挙げる。
「核で武装した北韓を止めようというのに、私たちの内部に反対がある。THAADにしてみても、安保という大きな枠で見れば小さな事象なのに、国全体が騒いでいる」
大国は当然のごとく強い安保力を持っているように見えても、一瞬で崩れ去る。それは歴史が証明している。自ら国を守るという覚悟がなければ、韓国は北韓の核兵器の脅威を克服できないだろう。


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