朴槿惠大統領が、慶北・星州への配置が決まった「高高度ミサイル防衛(THAAD)システム」の問題を、これ以上政争の種にしてはならないとの立場を明らかにした。朴大統領は21日、大統領府で開かれた国家安全保障会議(NSC)で「(THAAD配置問題が)政争化され、これを再検討しようというところまでいってはいけない」とし、「国家と国民の生命を守るための選択をめぐって我々が分裂し、そこに社会の混乱が加われば、北韓の望むとおりになるだろう」と憂慮した。
朴大統領は反対論者に向け、北韓のミサイル攻撃から国民を守る方法があれば提示してくれとの言葉も付け加えた。続いて大統領は、「私も無数の非難と抵抗を受けているが、今このような状況では、大統領が揺らげば国が不安になる」との考えを示した。死ぬ時まで非難を恐れず、苦難を友と思って堂々と信念を貫きたいという意思表明もあった。
大統領の一連の発言は、安全保障のための確固たる意志を明らかにした発言と評価されている。しかし、野党をはじめとする反対陣営に、納得する兆しは見えない。THAAD配置によって中国との関係が悪化するというのが主な反対理由だ。また、韓半島の危機状況をあおったといった批判も寄せられている。こうした批判とセットになっているのが北韓との対話局面に転じるきっかけにしようという論調だ。
THAAD配置は、北韓の軍事的脅威から韓国の国家防衛のための一手段としての措置であり、米国との同盟を強化する現実的な手段だ。大統領の21日の発言は、この延長線上にあり、反対には屈しないという意志の表れといえる。
国益のための選択において、世論は優先順位にはならない。それでも「世論」を反対理由とする雰囲気は依然として強い。
(ソウル=李民晧)