朝総連衰亡史(6) 平日の昼に数十人

政治活動に動員される朝鮮学校 抗議活動は授業の一環
日付: 2016年07月06日 12時06分

 朝総連はなぜ朝青に朝大卒業生を優先的に配置するのか。それは朝青が朝総連の組織を維持する核心支持体であるからだ。朝鮮大学校が全校生に寮生活を義務づけるのは、朝青生活を通じて組織の後継者、つまり労働党員を補充するためだ。そのため、朝青の活動は基本的に外部へ公開せず、ホームページも閉鎖的に運営されている。
朝総連の大規模な組織動員は、傘下団体を全部稼働すれば可能だが、普段緊急動員できる組織は限定的だ。ここで最も便利な存在が各級学校、特に朝鮮大学校と朝青である。
朝青は文部科学省や外務省などへの抗議活動によく動員される。日本当局への抗議活動の様子を見れば、これらのデモは学校生活の一部、事実上の授業の一環であるとみられる。
最近、平壌から金正恩の「聖戦指令」によって、組織動員に腐心している様子が見られる。もちろん、その先鋒、前衛隊は朝青だ。
最近、東京の韓国大使館前で朝総連が数回にわたってデモを行った。朝青と留学同が中心だった。3月7日の正午ごろのデモは、韓米合同軍事演習中止を訴える内容だった。朝青員と思われる約50人のうち18人が、大使館の正門前まで移動して抗議した。3月9日の午前中には、約40人がやはり韓米合同軍事演習中止を主張し、このうち25人程度が大使館の正門まで接近して気勢をあげた。ここでも参加者の中心は朝青と留学同だった。4月11日には駐日米国大使館と韓国大使館へ行った。韓国大使館への抗議は「日本軍慰安婦」問題の交渉だった。5月30日の午前には、留学同、女盟などが中国で働いていた食堂従業員の韓国への集団帰順を「拉致された」と騒ぎたて、北への送還を要求した。
そもそも、地上の楽園だと騙して10万人近くの在日同胞を生き地獄に連れて行った朝総連がいえる話ではない。北韓の同盟国である中国からの帰順を韓国当局の拉致と言い張るなら、日本で毎年数千人が朝鮮籍から韓国籍に変えているのも、すべて韓国大使館が朝総連(朝鮮籍)を拉致したものだと主張したらどうか。
いずれにせよ、朝青と留学同を中心としたこの抗議は、すべてが平日の午前中に行われた。平日の午前中に40人から70人を動員するのは、動員する側も動員される方も楽しいものではないはずだ。彼らは平壌の指令だから従わざるをえない。事前に政治学習をしてから具体的任務を与えられ、動員されたのだ。朝大の朝青は、やはり授業の一部と見るしかない。
朝総連と朝青、特に全額奨学金を受ける学生が多い朝鮮大学校は、平壌の指令に従って学生を動員してこそ自らの存在が証明できる。朝総連が最近、平壌から教育援助金がたくさん来たと宣伝するのは、政治活動資金が増えたという意味だ。もっとも、日本の地方自治体などが朝鮮学校への補助金を減らしたため、自らの負担は増えている。それでも平壌からのお金より日本の自治体などの補助金の方が多い。朝総連は、首領からの「教育援助金」には感謝しても、自治体には感謝したことがない。
朝鮮学校の学生たちは、平壌へ修学旅行に行けば北での滞在費は無料だという。だが、世の中にタダはない。人民を食べさせられない金正恩が、北韓住民と比べられないほど裕福な暮らしをしている朝総連に奨学金を送るのはタダではない。見返りを求めているのだ。(つづく)


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