英国国民が国民投票でEUからの脱退を選択した。国民投票の結果については論難が続いているが、国家の進路や自らの運命に対する国民的意思を確認したことと、その決断を評価したい。
日本の安倍政権も憲法改正を掲げていかなる難関でも突破するという闘志を燃やしている。この週末の参議院選挙で与党が3分の2以上の議席を獲得するかに関心が集まるのも、改憲と関連しているからだ。
大韓民国は今、何をしているのか。英国と日本の事情は、韓国が置かれた状況よりも切迫しているのだろうか。党大会という「世襲戴冠式」を終えた金正恩は、韓米同盟の無力化を狙い、米国を脅かす核兵器体系の完成にすべてをかけている。
金正恩体制は決して核を放棄しない。韓国を戦略的に圧倒する北韓の核弾頭保有数は、間もなく3桁に達する勢いだという。
中国は経済成長の急速な失速を克服し、日米同盟と対するためにも、内外的に突破口が必要な状況だ。中国共産党は自らの既得権を維持するため、周辺国により大きな犠牲を強要するに違いない。
大韓民国の唯一の同盟である米国も、巨大な変化の波に包まれている。投票日まで半年も残っていない次期大統領選挙で選ばれる人物は、誰になっても今までとは異なる米国の姿で韓国の前に現れるだろう。日本国民もこのまま衰退するわけにはいかないという気持ちで、安倍政権の突進を許しているように見える。
われわれがこれまで慣れてきた世界は急激に姿を変えつつある。英国のEU離脱を問う国民投票は、西ヨーロッパですら統合が不可能であることを教えている。東西冷戦後に加速したグローバル体制には大変化が起きている。各国は、英国の国民投票によって引き起こされた「為替戦争」で、自国の利益のためなら他国を犠牲にすることをいとわないという姿を露骨に示している。
韓国の政界は、総選挙が終わって3カ月がすぎようとしている今、与野党すべてが「非常対策委員会」体制だ。これは建国後初めてのことである。
与野党は自党や自派のことばかりを考え、世界の変化や国が直面している非常状況は眼中にない。ポピュリズムに走る与野党は一様に、韓国社会の二極化解消を叫んでいる。だが、最も急を要する二極化解消には目をつぶっている。
この「最も急を要する二極化」とは、南北韓の二極化だ。少なからぬ人々が改憲を唱えているが、改憲論議は国家の進路に対する合意が得られていることが前提でなければならない。そして今、改憲以上の急務がある。北の核から国民を守ることだ。
今の韓国には、核避難施設や防御網を建設しながら、北韓の核を破壊するか、北韓体制を韓国にとって脅威のない体制に変えるか、北韓とその背後勢力の核能力を抑制する確固たる能力を確保するしか道はない。
韓国はなぜNPT脱退を問う国民投票ができないか。自国の安全を危機にさらしてまで韓国を助けようとする国がどこかにあると思っているのだろうか。
放漫な福祉予算の一部を使うだけで、北韓の核攻撃から国民を守れる。国と国民の生命を守ること以上の「福祉」があるだろうか。しかし、残念ながら朴槿惠政権と政界には、この課題に取り組む姿勢がまったく見られない。
大韓民国は前世紀に自らの力で国を守れなかった。核の脅威を取り除き、北韓同胞を解放することだけでも、せめてわれわれの力でやらねばならない。
この課題の解決に政府と政治が取り組まないなら、国民が立ち上がるしかない。大韓民国の活路を開く北韓解放革命は、主権者である国民が主体になるしかない。