朝総連衰亡史(4)

朝総連の土台を作り、やがて破滅させることに
日付: 2016年06月22日 16時20分

 1945年10月に結成された在日本朝鮮人連盟(朝連)発足当初、左翼は抑圧されてきた在日朝鮮人の鬱憤と独立への熱望を利用し、朝連の主導権を掌握していった。解放された民族として暮らし、学び、教えねばならないという生活上の必要から、全国的に母国語を教える在日同胞の学校が作られるようになった。国語講習所の形で始まったこの学校での教育を、朝総連は後に「民主主義的民族教育」と呼んだ。
教育機関は、朝連(後の朝総連)が在日同胞社会を掌握するための最も強力な武器となる。あらゆる宣伝と洗脳が、「民族教育」という美名・名分の下で行われた。母国語が学べるという素朴な期待を抱いて「朝鮮学校」に入学した瞬間、生徒は洗脳と扇動から抜け出られなくなる。しかしそのすべてが「民族」の名で正当化された。
朝総連は朝鮮学校の教育目的を、「全在日同胞の子供たちを主体の世界観が立ち、智・徳・体を兼ね備えた真の朝鮮人として、自分の祖国と民族の隆盛発展のために貢献ができる有能な人材に育成すること」、言い換えれば、個人の生を「自分の祖国と民族の運命と結びつけること」と定義している。朝総連は結成10周年の記念行事の際、学生8000人を動員して「祖国に捧げる歌」の公演を行ったと記録に残っている。こうした伝統は今も続いている。
朝総連は、「民主主義的民族教育」は日本社会で堂々と生きていくのに必要な知識を十分な習得できるように教えられているというが、朝鮮学校の教材と教育方針は朝鮮労働党が決めている。結局、日本社会への同化を防ぐという名分で始まった「金日成民族化」のための、偽りを教える「民族教育」は、いずれ朝総連を歴史の中に消えるようにする根源となる。
朝総連は今も、世界中が知っている6・25戦争勃発の歴史的真相、つまり、スターリンの操り人形だった金日成が同族を大量虐殺する奇襲南侵戦争を起こしたという史実を、「不倶戴天の敵、米帝が不意の共和国北半部に対する侵略戦争の火をつけた」(1990年12月、『総連』)、「米帝とその走狗・南朝鮮李承晩傀儡徒党が共和国に反対する侵略戦争を挑発、朝鮮人民の祖国解放戦争が始まった」(2016年2月、『総連主要活動日誌』)と教えている。
米占領軍当局が、日本を民主化するという目標のもと共産主義者にも政治活動を許したことは、地下に潜伏していた訓練された左翼にとって、朝連の主導権を掌握するのに有利に働いた。敗戦した日本で共産主義者に自由民主体制を攻撃する自由を与えた張本人は、共産主義の本質に対して無知だった、スターリンと同盟を結んだ米国務省のリベラリストであった。
朝総連が結成35年を期して発刊した便覧『総連』は、「世界海外同胞運動史に輝く新しい章を飾った今日の栄光に満ちた総連を想像すらできただろうか」と自賛している。金日成も、「総連が歩んできた誇らしい道のりは、在日朝鮮人運動に主体思想をりっぱに具現してきた栄光の35年であり、自分の祖国と民族のための神なる偉業に献身してきた愛国の35年です」と語った。
金日成をしてそう豪語せしめたのが、まさに朝総連の「民族教育体系」だった。もちろん、これは欺瞞だ。金日成と韓徳銖がそう豪語しているときに、すでに年間平均5000人以上が朝総連を去っていたからだ。(つづく)


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