代議民主主義を裏切った「国会独裁」

日付: 2016年06月01日 10時18分

 朴槿惠大統領が、国会が議決した国会法改正案に拒否権を行使したことに対して、野党が猛反発している。メディアは「無制限の聴聞会」を通じた、立法府による行政府支配という「三権分立の原則」無視のみを取り上げている。
しかし「憲法裁判所の決定を審査」するよう規定して司法の上に君臨する根拠を作ったことと、「国民権益委員会」を統制して国民個人の生活を支配できるようにしたのも、憲法と憲法精神への重大な挑戦・違反だ。結論として、大統領の拒否権行使は正当な措置だ。
そもそも国会法は、「この法律は国会の組織、議事その他の必要な事項を規定するもので、国民の代議機関である国会の民主的かつ効率的運営に寄与することを目的とする」(第1条)と規定されている。
つまり、「国会運営に関する規則」が目的である国会法に、憲法の根幹に対する干渉と規制を盛り込むことは決して許されるべきではない。よく「悪魔は細部に宿る」と言われるが、今の国会法改正がまさにこれに該当するといえる。
国会法改正が問題になったのは今回が初めてでない。ソウル五輪後の第6共和国で、国会がどのように運営されてきたのかを見てみよう。主に大統領の権力を牽制することに焦点が合わせられた1987年の改正憲法は、形式は大統領制だが、内容は国会中心制、いや国会独裁を保障した憲法だ。
これは、この憲法を作り、国会を運用してきた主体や第6共和国の歴代政権に1次的責任がある。「文民化政権」は、自分たちの正当性を強調し、憲法や憲法精神を無視し蹂躙する法を量産してきた。「三権分立の原則」もまともに守られなかった。
憲法を軽視する政治勢力は、自分たちの執権を、あたかも国民が革命を認めたかのように捉えて行動してきた。国会は限りなく憲法を攻撃した。憲法の領土条項と統一原則にも公然と挑戦した。
国会は、憲法が明示した予算審議の期限を守ったことがほどんどない。政敵を罰するため憲法が禁ずる遡及立法も躊躇しなかった。「立法」を通じて憲法を破壊し、事実上の”改憲”を恣行してきた。
反逆勢力に反逆の自由を与えるため、憲法の一部である国家保安法を弱体化させた。国家保安法は共産全体主義と対決している大韓民国憲法体系を守る唯一の法だ。憲法体系が揺らげば国家混乱と危機が来るのは必然だ。
自由民主体制と市場経済体制を無制限攻撃できるよう法と制度を変えてきた、いわゆる「民主化勢力」は、彼らが国会に進出してから国会を革命の道具として使用しはじめた。
自分たちの違法・反逆行為を合理化し、権力を維持するために、歴史を書き変える作業に国会を利用した。自由民主体制破壊勢力を「民主化有功者」とするため、司法府まで支配する法律を量産し始めた。裁判所の確定判決を再審の手続きなしで行政府の委員会が覆せる法律まで作った。
過去事真相調査委員会は反逆活動をした者まで「民主化有功者」にした。国家が補償する「民主化運動関連者の名誉回復と補償審議委員会法」などを作って、大韓民国を常識が無視される社会にしたのが代表的な例だ。
セウォル号特別法で見られるように、裁判中か裁判が終わった事件を国会と委員会が調査・処分する法律が今も作られている。何よりも、北韓の核ミサイル実戦配備がすでに進行中なのに、国会は核爆弾から国民と国家を護ることには全く関心がない。
もはや国会に自体浄化などは期待できない。大韓民国が生き残るためには、国会独裁体制を打破せねばならない。代議民主主義を悪用した国会独裁を牽制・正常化できるのは国民の蹶起だけだ。


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