北韓がさらなる核実験強行を明らかにした。金正恩は「早期に断行せよ」と指導。核兵器体系の完成を誇示することで、国際的に核保有国として認められることを狙ったものだ。金正恩の核挑発はあまりにも無謀だ。核による先制攻撃にまで言及したのは、宣戦布告というしかない。
またも核実験予告
朝鮮中央通信は15日、核弾頭の大気圏再突入のための弾頭実験成功を報道した。実験には金正恩も立ち合い、「核攻撃能力の信頼性をもっと高めるため、核弾頭の爆発実験と、核弾頭装着が可能なさまざまな種類の弾道ロケットの発射実験を早期に断行せよ」と指導したという。
北韓は今まで大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験を通じて、核弾頭を運べる運搬体技術を確立したことを誇示してきた。ところが、核兵器体系を完成させたと認められるためには、大気圏再突入技術を確保せねばならない。そのカギの一つが、熱や振動、衝撃に耐えうる弾頭を作ることだ。
内外の少なからぬ専門家は、北韓にはまだ再突入技術はないと言っている。つまり、核ミサイルの実戦配備は先のことだと主張しているのだ。北韓が以前行った事実上のICBM実験では、大気圏再突入段階はなかった。だが、大気圏再突入の弾頭実験は地上でもできないわけではない。現に、「はやぶさ」を宇宙から帰還させた日本も、弾道弾を利用して再突入技術を確立し、耐久性を検証したわけではない。
平壌のメディアは15日に公開した実験がいつ行われたものかは言及していない。当事者である韓国の韓民求国防長官は18日のテレビ番組で、北側が再突入技術を「確保したとは評価していない」と述べ、一方で追加の核実験については「いつでもできる状況」と表明した。
だが、専門家たちの中では、北側の核弾頭が大気圏再突入に耐えられるものとみて対応を急ぐべきとの指摘が高まっている。
追加核実験については内外的に、いつでも行えるという見方で一致している。早ければ、3月31日と4月1日にワシントンで開催される核安全保障サミットの前後との見方も出ている。
おそらく、5月初旬の労働党7次党大会までには劇的な方法で核ミサイル体系の完成を披露する可能性が高い。1980年以来36年ぶりに開催される党大会で、労働党や首領たちの業績として挙げられるのは、北の「憲法」に明記された「核保有国」くらいしかない。だから今はその完成に余念がないのだ。
北側は3月に入り、異常なペースで東に向けてミサイルを発射し続けている。3日には300ミリ多連装ロケットを、10日はスカッドミサイルを、18日はノドンを発射した。いずれも韓国と日本を攻撃できるものだ。21日にもミサイル発射があった。次は太平洋地域の米軍基地を狙えるミサイルを発射するはずだ。核戦争を辞さないという事実上の宣戦布告である。
なお、朝総連は金正恩の「核武器の兵器化事業指導」を大いに宣伝している。