韓国、独自の制裁発表

金融規制や海運統制を拡大
日付: 2016年03月16日 08時15分

 韓国政府は8日、独自の対北制裁措置を発表した。李錫駿・国務調整室長は「韓国は北韓の核とミサイル問題の直接の当事者として、北韓を変化させるために必要なすべての措置を取っている」と述べた。韓国は2010年、天安艦爆沈事件を受けて対北制裁「5・24措置」を発動。南北の交流を原則として禁じた。今回の独自措置は、対北韓制裁をさらに強化するための方策だ。
 政府が掲げた制裁措置は大きく4つの項目からなる。まず、金融制裁の対象を大幅に拡大したことだ。大量破壊兵器の開発に責任を持つ北韓の43個人・34団体を金融制裁の対象に設定し、対象者・団体と韓国との間の外国為替の金融取引を禁止し、国内の資産も凍結することにした。
 第二に、北韓と関連した海運統制の大幅強化だ。北韓に寄港した船舶は、たとえ第三国の船籍であっても180日以内に国内に入港することが全面禁止となる。
 第三に、北韓関連の輸出入規制の強化だ。北韓産の物品が中国、ロシアなどの第三国を迂回して韓国に偽装搬入されないようにブロックし、南北間の物品搬出入統制も大幅に強化されるというものだ。
 第四に、韓国国民と在外韓国人に対して、海外の北韓経営の食堂など、北韓関連の営利施設の利用自粛だ。政府の推算によると、現在、海外にある北韓運営の食堂は12カ国・130カ所以上。年間1000万ドルの収益を上げているといわれる資金源を細らせる目的がある。
 8日に発表された韓国の独自制裁を逆に解釈すれば、政府が今までの対北制裁が不十分であったと自認したとの分析が可能だ。金融制裁対象者は、今回の制裁措置まで3個人・4団体にすぎなかった。しかし今回の制裁で、韓国の友好国である米国(38個人・29団体)、日本(17個人・20団体)、オーストラリア(22個人・22団体)、EU(21個人・16団体)より多くの制裁対象者が設定された。
 韓国の制裁対象者数は、単純な比較で日本の倍近くに達する。しかし、今回は金正恩やその妹の金与正、黄炳瑞などは含まれていなかった。今後の南北対話の余地を残したという分析だ。制裁対象者の数は多いが、その効果は未知数との指摘も出ている。
 輸出入管理面では、政府の資料に「北韓産の物品が第三国を通じた迂回で国内に偽装搬入されたことが一部であった」と明記されるほど、管理がややずさんだったのは事実だ。北韓で精製された麻薬が、日本の暴力団などを経由して、韓国に入ってきたという疑惑もある。
 原則として、北韓産の物品の韓国搬入は2010年の5・24措置から禁止されてきたが、違法な搬入はあった。関税当局は、10年5月から昨年10月まで、計71件の違法物品搬入を摘発している。
 今回の対北韓制裁では、海運統制の面で韓日両国の協力が期待される。昨年一年間に66隻の第三国船籍の船舶が北韓に寄港して韓国国内の港湾に104回入港した。主要品目は、鉄鋼や雑貨などと把握されている。
 日本も今年2月10日、北韓に寄港した記録がある第三国船舶の日本入港を禁止している。昨年日本に入港した北韓経由の外国船舶は計44隻。政府は、「韓国と日本が同時に海運統制を強化する措置をとることにより、外国船舶が北韓寄港を避け、それにより北韓は海上物資輸送でかなりの困難を経験するだろう」と期待を示した。
(ソウル=李民晧)


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