本紙にたびたび寄せられる声の中に「野党を攻撃しすぎだ」というものがある。確かに、他紙に比べて現野党に厳しいのは認めざるをえないが、何も憎くてやっているわけではない。いわゆる「従北派」の言動と、本紙が掲げる統一理論が異なるが故の提言である▼野党が果たすべき本来の役割とは、与党に対して異議を唱えるべきときは唱え、よりよい方向に導くことではないだろうか。その点で、現在の野党は無条件に与党に反対していると受け取られても仕方がない言動が目立つ。彼らの支持率低迷が、何よりも雄弁にそれを物語っていよう▼野党の名誉のために言おう。かつての野党には、これぞという人物がいた。ややもすると強権的になりがちな政権に物申し、かといってそれは反対のための反対ではなかった▼李哲承氏が亡くなった。2月27日、93歳だった。故人は、路線からいえば与党に身を置いてもおかしくない人物だった。ただ、政治家人生の最盛期にあって、時の朴正熙大統領とはよく衝突した。それでも安全保障などの重要局面では不要な反対を慎んだ▼日本の植民地下にあったソウルで生を受け、信託統治反対運動に身を投じ、大韓民国の建国、民主化、経済発展とともに人生を歩んだ。6・25戦争では銃をとって戦った。空論ではない、地に足をつけた議論のできる政治家だった▼そんな彼を、与野党も朝野も関係なく人々はこう称える。「大韓民国の長男」。政界を退き、老境にあっても精力的に活動した。ゆっくりと休んでほしい。合掌。