対北政策の転換を明言

韓中関係も変わるか
日付: 2016年02月24日 00時00分

 対北政策の大転換か。朴槿惠大統領は16日、国会で安保と経済に関する特別国政演説を通じて、北の核武装を阻止するため、金大中政権以来続いてきた対北支援を中心とした政策の転換を宣言した。朴大統領は「韓半島信頼プロセス」を対北政策の軸に据えてきたが、平壌側が韓国の善意を悪用してきた現実をもはや容認しないと誓った。朴大統領のこの厳正な判断と対応、金正恩政権の「体制崩壊」までに触れた政策の転換は、今も北側を庇護している中国との関係も変化するといえる。

北の体制崩壊にも言及

 「開城工団の全面中断は、今後私たちが国際社会と取っていく諸般の措置の始まりにすぎない」
 朴大統領は演説の中で、北韓が強く反発した開城の閉鎖は、韓国の対北措置の第一歩と言った。今後韓国の姿勢は、より厳しくなるということを示唆している。
 朴大統領はこれまで、「韓半島信頼プロセス」を対北政策の軸と位置づけてきた。もし北が核を放棄して、国際社会に対して門戸を開くならば、韓国は積極的な支援を行うというものだ。ただ、北は変化するどころかより暴悪になった。核保有国であることを既成事実化するため、今年に入って地下核実験とミサイル発射を立て続けに行った。
 新たな対北政策の核心は、次の一言に集約されよう。
 「今から政府は、北韓政権が核開発では生存することができず、むしろ体制崩壊を早めるだけだという事実を悟らせ、自ら変化せざるをえない環境を作るため、より強力で実効的な措置を取っていく」
 昨年まで「非武装地帯に生態系を保全するための平和公園を」と語っていた朴大統領は、北の変化を期待していた。しかし演説でも述べたように、韓国が行ってきた対北支援は、核兵器やミサイルというブーメランになって韓国に戻ってきている。韓国は譲歩も後退もできない状況になった。「核開発を続けていても生き残れない」という朴大統領の発言は今までもあったが、体制崩壊にまで言及したのは初めてのことだ。また、「ブレーキをかけず暴走している」などと、金正恩政権に対する批判のトーンは感情的にさえ映る。
 当然、北は反発した。労働新聞は21日、1面を割いて「狂った雌犬」などと朴大統領をののしった。

中国の擁護

 中国は今回も北韓の擁護に回っている。王毅外相は17日、訪問先のオーストラリアでの記者会見で「中国は停戦・和平体制の転換を非核化と並行して進める考え方を提案している」と述べた。中国が、米国との平和協定の締結を望む北に”援護射撃”を行ったのだ。
 米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは21日、米国が北韓に平和協定締結を打診していたと報じた。ただ、北韓は米国の打診を断り、1月6日に核実験を敢行し、「休戦協定」を平和協定に転換する交渉において、米国はまず先に核放棄を求めている。それに対して北韓は核実験で答えた。
 朴大統領が国会で演説を行った16日、中国外交部の張業遂・常務副部長は韓国で韓国外交部の林聖男・第一次官と対談し、国連安保理の新たな対北制裁案に賛意を示す考えがあると伝えた。韓国の対北政策転換で中国にも変化の兆候があるかと期待されたが、張副部長は米韓が韓国にTHAAD(高高度防衛)システムを配備することには従来どおり反対の立場を明らかにした。
 これに対して韓国国防部は18日「自主権の次元でTHAAD配備問題を決定する」と表明した。韓国側は、今までは遠慮がちだった中国に対しても、異なる姿勢を示している。朴大統領は16日の演説で、中露との協力の必要性に言及しつつ、韓日米3国間の協力も強化していくと強調している。
 韓国の対北姿勢は明確に変わった。それを強いたのは、金正恩体制と中国共産党だ。もし朴大統領が今後、北や中国の要求に屈したら、韓国の安保と韓米同盟の破綻という結果が待っている。


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