今シーズンから阪神タイガースに復帰した藤川球児投手は、父親が草野球でノーヒット・ノーランを達成した翌日に生まれた。なので球児と名づけられた。プロに入ってから徐々に力をつけ、ついには日本球界を代表するクローザーになった▼サッカー界に目を移してみると、Jリーグには「しゅうと」という名の選手が多い。「秀人」、「秀仁」などと漢字では書く。ソチ五輪スキージャンプ団体で銅メダルを獲得した清水礼留飛選手も、元スキー選手の父が、日本にスキーを伝えたといわれるオーストリアの軍人テオドール・フォン・レルヒにあやかって名づけた。いずれも名は体を表すの一例といっていい▼台湾の新行政院長(首相)に就任した張氏は下の名を善政という。理想の政治家を体現したかのような名前に驚かされたが、蔡英文・次期総統の政権が発足する5月までの暫定政権になる見通しだ▼太平洋を挟んだ米国の政界では「切り札」という姓を持つ候補が大統領選の中心に立っている。共和党のトランプ氏だ。歯に衣着せぬ発言の中には、暴言や放言と呼べるものもあり、数多くの批判も招いてきた▼ところが本人はそんな声などどこ吹く風。最近もテレビ局主催の討論会を、同局の司会者から「不当な扱いを受けた」としてボイコットした。党内の大統領候補者指名争いの初戦となるアイオワ州党員集会を前に、トップを走るトランプ氏。唯我独尊。これがかれの強みであるなら、同氏の懐からトランプが尽きることはなさそうである。