李承晩と朴正煕 アメリカに挑んだ大統領 第1部 -30-

韓国にとっては死活の利益がかかる問題
日付: 2016年01月27日 10時45分

 同盟関係の類型には協商、防衛同盟、中立、不可侵条約がある。韓米同盟は「締約国は単独でも共同でも、自助と相互協力によって武力攻撃を防止するための適切な手段を持続強化すべき」と述べることで、韓米同盟はその名のとおり防衛同盟の性格を持つ。つまり、攻撃戦略を想定せず外部からの先制攻撃によってのみ実質的に作動する同盟なのだ。
 多くの場合、同盟の持続期間は限定だが、韓米相互防衛条約はどの当事国であれ、終了を望む場合は、1年前に通知するようになっている。通知がない場合は無期限に有効だ。同盟の持続期間を明示したかどうかが同盟の強さと直接関連があるわけではない。ただ、弱小国の場合、急速に変化する国際秩序の下で、相当の持続期間が示されている同盟の方が、衝撃緩和のためにより有利だろう。
 韓米同盟は双務的かつ相互的である。しかし、韓米関係は実際的に韓国が米国に圧倒的に依存する関係であり、米国は実質的な安全保障の保証人の役割を担当している。つまり韓国の場合、韓米同盟は死活の利益がかかった問題だが、米国の場合は重要ではあるが死活的な水準には及ばない利益関係だったのだ。
 韓米同盟は、その統合の程度が非常に高い同盟の一つだ。同盟維持のための持続的な軍事的・政治的行為が行われており、特に作戦権が統合されている事実は、韓国領土内に、特に北韓の仮想侵入路の上に米軍部隊が駐屯しているという事実は、韓米同盟がいかに堅固な関係であるかを物語っている。特に冷戦期間中、韓国は世界第2位の米国の援助対象国だったという事実は、韓米同盟関係の統合性が非常に高いものであったことを物語る証拠となる。
 韓米同盟は、在韓米軍という米国の実質的な軍事介入と韓米相互防衛条約という2つの法的側面で構成されている。1945年、日本軍を武装解除するために韓国に進駐し、1949年に完全撤退した米軍は、韓国戦争勃発と同時に再び韓国に駐屯するようになった。韓国戦争では、在韓米軍の兵力は最大で32万5000人に達した。
 休戦後、米軍は韓国との公式的同盟関係に基づいて、合法的に大韓民国に駐屯する。韓米相互防衛条約は10月1日、米国の首都ワシントンで調印され、54年11月16日付で発効して今日に至っている。同条約は韓米同盟の基本的性格を条文で規定している。
 韓米相互防衛条約第2条は、韓米防衛条約が作動する戦争の性格を規定しており、第3条は両国が軍事力を動員する過程、第4条は米軍の韓国駐屯、第5、第6条は条約の有効期間などについて規定している。
 条約第2条は「当事国のいずれか1国の政治的独立または安全が外部からの武力攻撃によって脅かされていると、どちらの当事国も認めるとき、いつでも締約国は相互に協議する。締約国は単独でも共同でも、自助と相互協力によって武力攻撃を防止するための適切な手段を持続強化すべき」と規定している。
 第3条は「各締約国は、ほかの締約国の行政支配下にある領土と各締約国がほかの締約国の行政支配下に合法的に入ったと認める今後の領土において、ほかの締約国の太平洋地域においての武力攻撃を、自国の平和と安全を危うくするものと認め、共通の脅威に対処するために、各自の憲法上の手続に基づいて行動することを宣言する」と規定した。
 ところが第3条は、韓米同盟関係の盲点になる可能性を含む条項だ。米国がNATO同盟国と結んだ「自動的に介入する」という内容ではないのだ。米国は、韓国で戦争が勃発するとき、米国の憲法的手続きに基づいて戦争に介入するとしたのだ。純粋に法的条文だけを解釈すれば、米国の憲法的手続き、つまり国会の同意がない場合、米国は韓国での戦争に直ちに介入することができなくなっている。
 もちろん、こういう法的問題点を解消する装置がないわけではない。米国大統領が保有している戦争権限法は、国会の同意の前に米大統領が緊急事態に対処して軍事力を使用する権限を付与している。
 韓国の場合、米軍が駐屯していること自体が、同盟条約にある問題点を十分に相殺している。


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