4回目の核実験と金正恩の運命 姜哲煥 北韓戦略センター代表
金正恩は新年の挨拶で例年とは異なり、核問題には一度も直接言及しないまま、経済問題の解決を「われわれの経済管理方法」という表現で重ねて強調した。多くの人々は、金正恩が5月に予定されている第7回党大会を控え、体制の安定に力点を置いているのではないかという錯覚に陥った。
しかし金正恩は、国際社会の反対があるにもかかわらず、新年早々突然4回目の核実験を強行し、やはり衝動的かつ予測不可能な人物であることを立証した。金正恩は「核開発の中止や核放棄は、空が崩れても絶対にありえない」と宣言した。
核開発には莫大な費用がかかる。北韓が「普通の」国家運営をしていては不可能な事業だ。金日成が住民に約束した「コメのご飯に肉のスープ」は、はるか遠い目標になった。核開発のために、住民の生活を犠牲にするしかないからだ。
金正日と金正恩がこれまで実施した3回の核実験で、65億ドルに達する莫大な費用が浪費されたと推定されている。65億ドルあれば、北韓の8年分の食料を買ってもお釣りがくる。4回目の核実験だけでも、コストは2兆ウォンに迫ると推定されている。
核開発により住民への配給はなくなり、生活経済が破綻すると、権力側だけでなく一般住民も核開発と経済発展は並行できないと知った。さらに執権から4年間で約130人を処刑する恐怖政治と、叔父までも公開処刑する残虐さに、住民の金正恩に対する怨嗟は極致に達したと推測される。
核開発のせいで、国連など国際社会の対北韓制裁は徐々に強化されてきた。国連安保理は、3回目の核実験(2013年)にともなう対北制裁決議案に基づいて、4回目の核実験後、わずか15時間で緊急会議を招集した。北韓の核実験を国際平和と安全保障に対する重大な脅威とみなし、強く糾弾し、新しい安保理決議で以前より強化された制裁措置をとることを決めた。これにより、北韓経済の低迷はもちろん、住民の生活苦も悪化することは明らかである。
韓国政府は、北韓の今回の核実験直後、「国際社会との緊密な協力のもと、必ず相応の対価を支払わせる」と明らかにした。米国は国連制裁とは別に、イランのケースと同様に、北韓と取り引きする第三者まで制裁する「セカンダリー・ボイコット」を含む北韓経済の封鎖まで示唆している。日本も、拉致問題調査のために解除していた北韓船籍の入国禁止などを再開するものと見られる。中国も外交部声明を通じて「状況を悪化させる行動を中断することを要求し、中国は国際社会に対する義務を尽くす」と、対北制裁に含みを持たせた。総合してみると、イランと同様に体制を脅かすレベルの強力な制裁になると予想される。
歴史的にも、周辺国への挑発と恐怖統治は長く続いたことがない。イランが核開発を放棄するしかなかったのは、10年以上にわたる国際社会の強力な制裁により、2013年に自国通貨が暴落したためだ。当時はリアルの価値が半分になり、物価上昇率が35%に達するなど、経済は悪化の一途をたどった。
中国の煬帝は、数回にわたって高句麗を侵略した。そのたびに民から収奪し、国費を浪費した。ついに農民の反乱を招き、最後は臣下の手で殺された。朝鮮の燕山君も祖母の仁粋妃を殴打して死なせるなど暴虐を働き、ついにはクーデターにより王宮を追われた。
金正恩は今回の核実験強行を自信満々に伝え、米国など敵対勢力の核の脅威から自主権と生存権を守るための自衛的措置と強弁している。だが今回の核実験は、国際社会の制裁強化によって体制をより不安定にし、崩壊を早める起爆剤たりうる。
金正恩の核への執着も、終わりが見えている。核を放棄しなければ、現代版の煬帝や燕山君になるかもしれない。なぜなら今、国際社会だけでなく、北韓の住民も金正恩の核への執着を「不治の病」と捉え、危険な核問題を解決する唯一の現実的な方策は、金正恩の排除であることを確信しているからである。